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患者さんの息切れ対策、運動をするとよりよい呼吸につながる J-Breath(日本呼吸器障害者情報センター)

咳や痰、息切れに悩むかたが少しでも快適な生活を送るためには、どのようにすればよいのでしょうか。呼吸器疾患の患者会J-Breath (日本呼吸器障害者情報センター)の機関紙「J-BREATHよりよい呼吸のために」の連載講座「慢性呼吸疾患とうまくつきあうために」(関東学院大学看護部・若林律子先生ご執筆)に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんのアンケート結果から息切れに対する対処する工夫が紹介されているので参考にしましょう。

COPDなど慢性呼吸器疾患の患者さんは積極的に運動に取り組む

若林先生の連載講座「慢性呼吸疾患とうまくつきあうために」は、病気による症状の悪化を予防して、より健康的に生活の質を向上してもらうのに役立つ情報提供を目的に、J-BREATH機関紙に1年間にわたって6回シリーズで掲載されました*1
連載シリーズの第6回(機関紙2019年12月17日発行号)では、呼吸器疾患の患者さん92人(平均年齢72歳。COPD患者さんが大半で、次に多いのは間質性肺炎でした)に回答していただいた「よりよい生活のための工夫」が紹介されています。
その内容から、息切れへの対処方法に関するアンケート結果を見ると、回答した多くのかたが運動をがんばっていました(「毎日運動」、「時々運動」の回答が7割を占めていました)。
患者さんが実践している運動を見ると、ウォーキング、ストレッチ、エアロバイクなど、有酸素運動と筋力トレーニングをあわせて実施しているかたが多いようでした。また、日本特有のラジオ体操をしているかたが多いことがわかりました。

運動を毎日している人は時々運動している人に比べて息切れが少ない

患者さんのなかには、息切れがあるので「動かないほうがいい」と思っているかたがいました。しかし、運動しないと悪循環に陥って息切れを悪化させてしまいます。連載講座のなかで若林先生は、運動をすることによって以下のような効果が期待されるとしています。

■運動の効果

  • 息切れを軽減する
  • 筋肉量が増し、骨量維持に役立つ
  • 機能的な運動と持久力を改善
  • 気分を改善して、抑うつになるリスクを軽減
  • 睡眠と生活の質を改善

出典:第6回「よりよい生活のために」の表1「運動の効果」

また、アンケート結果では運動を毎日している人は、時々運動している人に比べて息切れが少ないことがわかりました。
つまり、運動することによって息切れが軽減していくという結果のあらわれです。若林先生によると、運動していない人はできるところからやっていくこと、運動しているかたは継続することが重要とのことでした。

口すぼめ呼吸や腹式呼吸、息切れが起こるときの状況を知ることも重要

息切れに対処する工夫に関しては、口すぼめ呼吸や腹式呼吸をしているかたが多く、息切れがあるときには無理をせずに休憩していることがわかりました。
連載講座のなかで若林先生は、ひどい息切れを一度体験すると、運動が嫌になることや外出が不安になることがあるので、ふだんからどのような時に、どのような運動によって息切れが起きるのかを自分自身で知っておくことも大切だとしています。
また、インフルエンザ予防をしている人は9割で、予防接種をして無理な外出は避け、外出したあとはマスク・手洗い・うがいの3点セットが重要なことがわかりました。 食事に関しては8割のかたが気を付けており、肉、魚、野菜をバランスよく食べることや、食事の回数を増やすといった工夫をしているかたが多くいました。

より快適な療養生活を送るための情報が満載のJ-BREATH機関紙の連載講座の詳細(下記連載テーマを参照)や、機関紙を購読希望のかた、また息切れを減らしたいと考えているかた、息切れや疲労により食事がとれないときの対処法を知りたいかたは、下記のJ-Breath(日本呼吸器障害者情報センター)のホームページから連絡してください。有益な情報を提供してくれます。

J-Breath(日本呼吸器障害者情報センター)

  • *1:若林先生の連載講座「慢性呼吸器疾患とうまくつきあうために」は2019年に6回にわたってシリーズ連載されました。以下が各号のテーマとおもな内容です。
    ・第1回:機関紙第100号(2019年1月29日発行)、テーマは「慢性呼吸器疾患とうまくつきあうために」、おもな内容は快適かつ健康的な療養生活の重要性、症状悪化の要因とその要因を避ける方法
    ・第2回:機関紙第101号(2019年3月31日発行)、テーマは「息切れの対処方法(運動編)」、おもな内容は口すぼめ呼吸の活用法、急な息切れの対処方法など
    ・第3回:機関紙第102号(2019年6月19日発行)、テーマは「息切れの対処方法(お薬編)」、おもな内容は吸入薬の使用法や副作用、増悪を予防する薬など
    ・第4回:機関紙第103号(2019年8月15日発行)、テーマは「増悪を予防するために」、おもな内容は日々の呼吸器症状を知る重要性、呼吸器感染症、悪化要因など
    ・第5回:機関紙第104号(2019年10月20日発行)、テーマは「ストレスと不安をコントロールする」、おもな内容は不安と息切れの悪循環を断ち切るリラクゼーションのコツなど
    ・第6回:機関紙第105号(2019年12月17日発行)、テーマは「よりよい生活のために」、おもな内容は患者さんのアンケート結果をふまえた息切れに対する工夫、インフルエンザ予防、食事の工夫など

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公開日:2020/02/12
監修:J-Breath(日本呼吸器障害者情報センター)