疾患・特集

骨折、寝たきりを予防するために「ロコチェック」!

思うように体を動かせなくなり、外出がおっくうに。その状態は、ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)かもしれません。日本整形外科学会は、骨折や転倒、寝たきり、要介護にならないためにロコモ度をチェックして、生活習慣や運動習慣の見直し、医療機関への受診をすすめています(2019年9月5日の記者会見から本記事を作成しました)。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

毎年10月8日は「運動器の健康・骨と関節の日」、10月20日は「世界骨粗鬆症デー」です。さらに、日本整形外科学会は10月を「骨と関節の啓発月間」としています。
そこで、同学会は2019年9月に記者会見を開き、松本守雄先生(同学会理事長、慶応義塾大学)、澤口毅先生(金沢大学、富山市民病院)は骨粗鬆症で足の付け根(大腿骨といいます)の骨折に注意すること、ロコモ予防について講演しました。

講演によると、骨・関節の病気や筋力の衰えなどにより骨、関節、軟骨、椎間板、筋肉など運動に関わる部位(運動器といいます)に障害が起こり、立つ、歩くといった体を動かす機能が低下してしまう状態をロコモといいます。
運動習慣のない生活、肥満もしくはやせすぎ、スポーツのやりすぎや事故によるケガ、「腰が痛い」、「ひざが痛い」といって放置していると、ロコモ状態がひどくなって寝たきりや要介護を招きます。家族や介護者への負担や社会経済的な負担も大きくなります(参考記事:骨粗鬆症やロコモを予防して人生100年時代を満喫しよう!)。

ロコモティブシンドロームの概念 ロコモティブシンドロームの概念

出典:ロコモパンフレット2015年版、公益社団法人日本整形外科学会/ロコモチャレンジ!推進協議会 公式HP「ロコモONLINE」(https://locomo-joa.jp/

「自分はロコモ?」、そのときは7つのロコチェック

「自分はロコモかも?」。そのときは、7つの「ロコチェック」で調べましょう。以下の7つの項目はすべて、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインです。1つでもチェック項目が当てはまればロコモの可能性があります。

■7つのロコチェック

ロコモ度チェック

出典:ロコモパンフレット2015年版、公益社団法人日本整形外科学会/ロコモチャレンジ!推進協議会 公式HP「ロコモONLINE」(https://locomo-joa.jp/

立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25でロコモ度を測定!

ロコモ度を知りたい。そんなときは、簡単な3つのテスト「立ち上がりテスト」、「2ステップテスト」、「ロコモ25」(25項目の質問票)でわかります。

■ロコモ度テスト

  • 立ち上がりテスト:10cm、20cm、30cm、40cmの台*を用意して、片脚または両脚で反動なく立ち上がれるかどうかによってロコモ度を判定します。足(下肢)の筋力は弱まると移動機能が低下するのでロコモの可能性があります。
    立ち上がりテストの方法はこちら
  • 2ステップテスト:できる限り大股で2歩歩いたときの歩幅を調べることで下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価するものです。
    2ステップテストの方法はこちら
  • ロコモ25:体の状態、生活状況に関する25項目の質問に答えてロコモ度を測定するものです。
    ロコモ25の方法はこちら

■ロコモ度判定方法

上記3つのテストでいずれか1つでも当てはまる場合は「ロコモ度1」あるいは「ロコモ度2」と判定されます。

ロコモ度判定方法:ロコモ度1

ロコモ度判定方法:ロコモ度2

ロコモ度テストの出典:ロコモON LINEパンフレット2015年版、日本整形外科学会公式ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト、公益社団法人日本整形外科学会/ロコモチャレンジ!推進協議会 公式HP「ロコモONLINE」(https://locomo-joa.jp/

ロコモ度1は体を動かす機能が低下、ロコモ度2は医療機関受診

ロコモは、骨や関節、筋肉など運動器の機能が低下して体を動かせなくなる介護が必要な状態、または前段階なので、ロコモ度をチェックして生活習慣や運動習慣を見直しましょう。
運動習慣を改善する方法の1つに、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)があります。簡単なロコトレとして、バランス能力をつける片脚立ちや、足の筋力をつけるスクワットなどがあります。骨に負荷をかけて骨密度の低下を防いで筋力を鍛えることで、骨折や転倒の予防につながります(ロコトレについて詳しくはこちら)。

何歳になっても思うように体を動かせることが重要です。ロコモ予防の対策をして、人生100年時代、エイジフリー社会、1億総活躍社会を実現しましょう。

■参考

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公開日:2019/10/16
監修:日本整形外科学会理事長 松本守雄先生(慶応義塾大学整形外科学教授)、富山市民病院副院長/整形外科部長 澤口毅先生(金沢大学整形外科臨床教授)