目のまぶた(眼瞼:がんけん)が開きにくい、まばたきしづらい、太陽や照明がまぶしくて目が開けられない、ドライアイのようなショボショボ、ゴロゴロするなどの症状は、眼瞼痙攣(以下、眼瞼けいれん)という病気の可能性があります。セルフチェックができます。患者会の「眼瞼・顔面けいれん友の会」の講演会*で清澤眼科医院の清澤源弘先生が講演した内容から、治療法も含めて紹介します。
眼瞼けいれんは、病名のけいれんのイメージと実際の症状がかけ離れています。
そこで、自分の病気の症状を理解するために、患者さんがセルフチェックできるツールや、まぶたが開きにくいことやまばたき(瞬き)しづらいことを医師と患者さんが評価して重症度を把握するツール(随意瞬目テスト)があります(表1、表2)。
次のうち、自分にあてはまると思うものに○をつけてください。
*1~2項目は「眼瞼けいれんの疑いあり」、3項目以上は「眼瞼痙攣の可能性が高い」
軽瞬、速瞬、強瞬のテストを患者さんと医師それぞれが評価した結果をもとに、眼瞼けいれんの重症度を決定します。
出典:出典:神経眼科2017;34:411-420
「目がしょぼしょぼしたら…眼瞼けいれん? 片側顔面けいれん?正しい理解と最新の治療法」、メディカルアプリケーションズ、2009
ドライアイにしては自覚症状が強すぎる方、ものにぶつかりやすい方、転倒しやすい方など日常生活で困ることがあるような方は、この病気の存在を疑ってください。
まぶたの開きにくさやまばたきのしづらさ、まぶしい、ドライアイのような症状以外に、抑うつ感などもあります。目の症状と精神症状に対して治療を受けることが重要です。
眼瞼けいれんの治療に関しては、第一選択はボツリヌストキシン注射(製品名:ボトックス®)です。
眼瞼けいれんは、体内では目のまわりにある眼輪筋の異常興奮が原因なので、眼輪筋にボツリヌストキシンを注射して、眼輪筋に軽度の麻痺(まひ)を起こさせることで症状を和らげることが期待できます。
保険適用が認められている唯一の治療法です。ただし、症状の軽減が目的の治療法なので、根本的に治す方法ではありません。1回の注射で効果が出始めるのに1週間程度、効果の持続は3~4ヵ月ですので、2ヵ月以上の間隔で繰り返し受けるケースが多いとのことです。
前述のセルフチェックテストと随意瞬目テストによる患者さんの症状に応じてボツリヌストキシン注射を打ちながら、ドライアイ対策(症状が強い場合に涙点プラグを目に挿入する治療法があります)や、薬の治療、遮光眼鏡などをあわせて対策を講じます。
また、精神症状が強い場合はカウンセリングなどを受けるようにします。
以上から、医療機関で治療を受ける患者さんは、ボツリヌストキシン注射の治療法のことをよく理解すること、自分の症状について観察できるようにすることが重要です。