塩分の摂りすぎは、生活習慣に関わる心臓の病気や脳卒中、腎臓病などを悪化させるため、注意しましょう。そこで、塩分の摂りすぎを簡便に評価できる塩分チェックシート*1があります。実際に医療機関で活用している福山市民病院(広島県)の川崎祐子先生が心臓の病気で入院中の患者さんをチェックした結果、点数が高いのは心筋梗塞など急病で入院し、BMIが高く食習慣の改善ができておらず、減塩指導が必要な患者さんだったことを、第22回日本病態栄養学会年次学術集会*2で報告しました。
川崎先生によると、福山市民病院で心臓の病気で入院している患者さん100人(心不全35人、急性心筋梗塞21人、狭心症16人、不整脈16人など)のチェック点数*3と、肥満(BMI25以上)、病気、年齢や性、身長などとの関係性を調べました。
まず、患者背景に着目して調べると、平均点数が高いのは男性(男性15.1点、女性12.3点)、肥満(肥満15.8点、肥満でない13.3点)でした。
また、塩分チェック点数が高くなる特徴としては年齢が若いこと、身長が高いこと、BMIが高いことが分析からわかりました。
このことから、塩分チェックシートと食事摂取量などともふまえて総合的に評価して、患者さんに栄養指導をすると、より効果的なことが考えられました。
心臓の病気ごとにグループ分けして、塩分チェックの点数の平均点を見ると、塩分多めと考えられて減塩の工夫が必要とされるレベル(14~19点)にあった病気は、心不全(平均14.9点)と急性心筋梗塞(17.2点)の患者さんでした(図)。
心不全 | 14.9±4.9 |
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AMI:急性心筋梗塞 | 17.2±5.4 |
狭心症 | 13.3±3.8 |
不整脈 | 10.9±6.0 |
その他 | 12.8±3.1 |
図の提供:福山市民病院・川崎祐子先生
そこで、急性心筋梗塞とそれ以外の心臓の病気でグループ分けして調べると、急性心筋梗塞の患者さんでは年齢が若くBMIが高いという特徴があり、塩分チェック点数が高いことから、減塩も含めた栄養指導が重要なことがわかりました。
川崎先生によると、心筋梗塞など急な心臓の病気で入院した人は、食習慣が改善できていない状態でBMIが高いことや塩分摂取量が多い可能性があるので、栄養状態に注意していく必要性がわかりました。
また、患者さんの減塩指導は重要ですが、病院内での栄養指導の時間が限られています。そこで、塩分チェックシートは簡便で有用な評価ツールであることが、今回の検討からわかりました。
今後、年齢や体格(身長、BMIなど)、食事の摂取状況を総合的に評価したうえで、塩分チェックシートを活用していきたいとの話でした。