疾患・特集

「ママのバレッタ」、親子でがんを話し合おう 絵本と写真、音楽が奏でるストーリー(2)

誰でもがんという病気になるといっても過言ではない時代です。小学校でがん教育の機会が増えていますし、これからは親子で病気のことを話し合って理解することが重要です。そのきっかけとなるものとして、絵本「ママのバレッタ」があります。絵本と写真、音楽がつながれた空間で、がんに関わる人の思いを感じてもらい、病気を理解して明日に向かって進んでほしい願いが込められたイベントで、絵本の内容が紹介されました。

親子でがんを理解して次の世代まで命のバトンタッチができるようにしたい

2019年1月27日、グリーンルーペプロジェクトの主催により、ピアノの生演奏とともに絵本が朗読され、がんに関わる人が撮影した写真が展示されることで、明日に向かって生きる勇気と希望を持ってもらうことを願って、イベントが開催されました。
絵本に関しては、がんを発症した母親との娘さんが励ましているやりとりを、お子さんの目線で描かれている絵本「ママのバレッタ」などが紹介されました。
絵本制作に携わった、こどもをもつがん患者コミュニティ「キャンサーペアレンツ」によると、親子をつないで病気のことや自分の思いを伝えるきっかけになってほしいとの願いを持つ子育て世代の多くの会員から、さまざまな思いが寄せられて制作されたとのことです。

「子育て世代におけるがん、そのことに注目してほしいと思いました。子どもに病気のことを言いにくい気持ちがあるなか、当事者がどのように考えて伝えたのか、その想いが絵本には込められています」

「自分の子どもが大きくなったら、次の世代の子どもにも伝えて命のバトンタッチをしてほしいと願っています」

「つらいのは自分だけだと思わないでほしいのです。絵本が仲間と寄り添うきっかけに、また病気に関係ないと思っている人ががんについて知ってもらい、関わりを深めてもらえるきっかけになればありがたいと思います」

子どもが大人になって孫が生まれたときも親に生きていてほしい

イベントでは、ピアノが演奏されるなかで絵本が朗読されました。
絵本は「ママのバレッタ」、病気になったからこそ気付くチャンスがあるという詩の「病のときは恵みのとき」(晴佐久昌英著「だいじょうぶだよ」、女子パウロ会)や、亡くしてしまったお父さんへの思いを幼い子どもの目線で描かれた絵本「よっつめの約束」(高野優著、主婦の友社)、アニメ「フランダースの犬」最終話も朗読されました。
絵本「ママのバレッタ」に関しては、抗がん剤治療の副作用により髪が抜けたお母さんへの娘さんの言葉、「ママは、長くてサラサラのかみの毛がじまんだったのに。バレッタ(髪留め)もつかえなくなって」とタイトルになった台詞があります。娘さんは以下のように励まします。

「大丈夫。私が大人になったら、お薬の研究者になって、髪の毛が抜けない抗がん剤を発明するから」

「おふろのときはシャンプー楽ちん、ドライヤーもしなくてもいい。帽子のおしゃれもできるし、美容院に行かなくてもいい」

娘さんは、ユーモアも交えて抗がん剤治療でがんという病気と闘っているお母さんを励ましています。励ますとともに、「かみの毛なんてなくても、ママはママ。生きていてほしい」と切に願っています。

「私が大きくなったら、ママはバレッタをくれると言ってくれたけれど、わたしはいらないの。私の子どもが生まれて女の子だったら、その子にあげてほしいの。そのときまで、ママがバレッタを持っていてほしいの」

娘さんは、自分が大人になって女の子が生まれたら、ママからバレッタを渡してほしいと話しています。
つまり、親から子ども、子どもが大人になって生まれた孫に命のバトンタッチをできるよう、お母さんには長く生きていてほしいと願っているのです。

「病のときは恵みのとき」、「よっつめの約束」、「フランダースの犬」も紹介

「ママのバレッタ」 B5判、オールカラー、全32ページ、定価1500円+税、生活の医療社
http://peoples-med.com/mamas-barrette/

絵本「ママのバレッタ」以外に、「病のときは恵みのとき」(晴佐久昌英著「だいじょうぶだよ」、女子パウロ会)や、亡くしてしまったお父さんへの思いを幼い子どもの目線で描かれた絵本「よっつめの約束」(高野優著、主婦の友社)、アニメ「フランダースの犬」最終話も朗読されました。

最後になりますが、現在は、2人に1人ががんになる時代です。小学校でがん教育の機会が増えていることから、子どものころから病気のことを知ってもらうことが必要になっています。
親子で病気のことを話し合い、お互いに理解することが重要です。そのきっかけとなる絵本として「ママのバレッタ」などを参考になります。

公開日:2019/03/15