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息切れ対策は口をすぼめて腹で呼吸!呼吸リハビリテーションでよりよい呼吸(1)

咳や痰、息切れに悩んでいる人、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんには、呼吸機能を回復あるいは維持するために、呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)が役に立ちます。第23回J-BREATH(日本呼吸器障害者情報センター)講演会「~よりよい呼吸のために~」(2018年10月28日)では、結核予防会複十字病院の千住秀明先生が「息切れと仲良く暮らそう」のテーマで講演し、呼吸リハをふだんの生活に取りいれるコツについて解説しました。

体を動かさないと筋力が落ちる、呼吸するために多くの酸素が必要になる

息が苦しい

千住先生の講演によると、「咳や痰が多い」「階段を昇ると息切れがする」「息が苦しい」「胸が締めつけられる」などがおこるのは、エネルギーをつくるために必要となる酸素を吸い込み、不要になった二酸化炭素を体の外に排出するという呼吸がうまくできないからです。
代表的な病気のCOPD患者さんでは、呼吸動作のために健康な人よりも多くの努力とエネルギーを使います。年をとると筋力が落ちてきますが、体を動かさないと筋力が低下するので息切れも強くなり、動いたり歩いたりするのが負担になるなど、悪循環に陥ります。

呼吸リハで体力や筋力をつける、呼吸方法を工夫して体のコンディションを整える

オリンピックのマラソンメダリストの有森裕子さんは、肺活量は普通の人と大きくは変わりません。トレーニングにより、少ない酸素で走れる筋力つけたからこそフルマラソンを走れるのです。
そこで、息切れを起こしやすい人やCOPD患者さんは呼吸リハをすることにより、呼吸法を活用して酸素を多く取り込むこと、体のコンディションを整えること、体を動かして体力や筋力をつけることなどが重要になります。

ふだんの生活で息切れを減らすコツは口すぼめ呼吸と腹式呼吸

呼吸リハは難しくありません。自宅でセルフケアとして取り入れるだけで効果があります。
ふだんの生活で息切れを減らすために口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸法を意識して取り入れることがポイントです。

●口すぼめ呼吸

鼻から空気を吸ったあと、ほほをふくらませて口をすぼめましょう。そうすることで、胸のあたりの気道が広がって息が吐きやすくなります。

●腹式呼吸

胸と腹の境にある横隔膜を上下に動かすだけで、胸呼吸のように横隔膜を広げなくてもいいので、少ない酸素で呼吸ができます。

千住先生によると、口すぼめ呼吸や腹式呼吸により肺の気道が広がるので、薬剤の気管支拡張薬のような効果があるとのことです。

ふだんの生活に口すぼめ呼吸や腹式呼吸を意識して取り入れるだけで、十分な効果があります。呼吸リハは運動することと休憩することを考えるなど、できる範囲で継続的に実施することが重要です。
次回は、家事や着替えなどを日常生活で呼吸リハを取り入れる工夫について紹介します。

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公開日:2019/02/20
監修:結核予防会複十字病院 千住秀明先生