疾患・特集

痛みと疲労、患者の経済状況?線維筋痛症友の会アンケート結果(1)

線維筋痛症は、全身にわたる激しい痛みや疲労などにより、日常生活や仕事に困難を来たす病気です。患者会のNPO法人線維筋痛症友の会は会員の患者さんを対象に療養生活の実態についてアンケートを行っています。患者さんの経済状況について、患者会理事長の橋本裕子さんに概説してもらいました。

経済的支援や福祉サービスなどサポートが欠かせない

FM白書

患者会は、療養生活の状況についてアンケートを5年ごとに実施しており、その結果は2011年と2016年に「FM白書」(FM:線維筋痛症 Fibromyalgiaの略)で公表しています。
橋本さんは調査結果から患者さんの診療や生活面、経済面、就労面などに関する実態について、2018年9月30日に開催された日本線維筋痛症学会第10回学術集会で発表しました。

橋本さんによると、医療費負担(月額)の変化について2011年と2016年で比較した結果、医療費の自己負担(月額)に関しては以下のような結果でした。

■医療費自己負担(月額)

2011年(回答697人) 2016年(回答768人)
1万円未満 23% 39.4%
1~2万円 34% 25.5%
2~3万円 22% 11.4%
3万円以上 16% 9.8%

医療費の自己負担は月額2万円までが多いが一般家庭の世帯全体の支出額より大きい

2016年では、医療費の自己負担月額が2万円までは65%でした。5年前の2011年に比べると、全体的には医療費の負担が減少しています。これは健康保険で受けられる治療の選択肢が増えたことが考えられるとのことです。
しかし、「医療費が負担だと感じている」との回答は77%でした。橋本さんによると、薬代を気にして治療に二の足を踏む患者さんもいるようです。
総務省統計局「家計調査」(日本国政図会2016/17年版)では、1世帯あたり1ヵ月間の医療保険費の支出は、1万2,829円(6人以上の世帯)~1万3,656円(2人世帯)の範囲でした。
線維筋痛症患者さんの負担額は約47%が月額1万円以上です。
橋本さんによると、線維筋痛症患者さんの世帯全体の支出額は平均医療費をはるかに超えているので、経済的に困難な状況が推察されます。

■関連記事

公開日:2019/02/08
監修:NPO法人線維筋痛症友の会 理事長 橋本裕子さん