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天気病で痛みや疲れが悪化するのはなぜ?

「今日は、気圧が低いので体の調子がよくない」ということはありませんか?いわゆる天気病というもので、台風や爆弾低気圧が来ると痛みを強く感じることや、疲れや倦怠感がひどくなることをいいます。線維筋痛症や更年期の症状に悩まされるかたには、天気病は天敵かもしれません。関節リウマチ、痛み、疲労に特化した東京リウマチ・ペインクリニック院長の岡寛先生に概説してもらいました(2018年9月30日の日本線維筋痛症学会第10回学術集会・市民公開講座から本記事を作成しました)。

台風や爆弾低気圧がやってくると心身に不調

台風や爆弾低気圧

2018年は日本に多くの台風がきました。西日本、東日本に上陸して通り抜けることもありました。9月30日は線維筋痛症の市民公開講座が東京都で開催されましたが、その日も台風が関東地方に上陸するところでした。
市民公開講座で岡先生は痛みや疲労の対策に関する講演をしており、台風にちなんで気圧が関係する天気病についても説明していました。

気圧が急激に低くなると内耳に影響して自律神経系が乱れやすくなります

岡先生によると、台風や爆弾低気圧がきたときに気圧の急激な変化が影響して心身の不調が起こることがあります。
体内ではどうなっているのでしょうか。気圧が急激に下がると、体内で気圧を感じるのは耳の内耳と眼(視覚)です。脳には、内耳からの情報と視覚からの情報がそれぞれ送られますが、2つの情報が一致しなければ自律神経が乱れて平衡感覚に問題が起きます。
具体的には、耳の内耳というところで気圧の変化を感じると、リンパ流に乱れが起きてしまい、その情報が脳に送られます。
一方、眼(視覚)で気圧の変化を感じませんので脳に情報が送られません。
2つの情報が一致しないので、脳内で混乱が生じます。自律神経系のバランスがくずれてしまい、痛みが悪化すること、だるくなること、めまいや頭痛などが起こりやすくなるのです。

天気病に個人差があるので予防薬を飲むタイミングを把握しましょう

爆弾低気圧や台風などが通過するときに具合が悪くなりやすい人は、内耳のリンパ流の乱れを整える薬を事前に飲むと予防になるでしょう。
岡先生によると、事前に薬を飲むにも、台風が来る前日がいい人もいれば、数時間前がいいという人、極端ですが1時間前に飲むほうがいい人もいるとのことです。
天気病には個人差があるので、自身が天気病になりやすい気圧変化のパターンを理解できるサイト(例えば「頭痛ーる」など)も活用してみましょう。

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公開日:2018/12/14
監修:東京リウマチ・ペインクリニック院長 岡寛先生