疾患・特集

痛みと疲労に苦しむ線維筋痛症、10年間にわたる患者闘病記

全身の激しい痛みや疲労に襲われる線維筋痛症。患者Aさんは、病気を10年前に発症してドクターショッピング状態に陥るなど、長く苦しめられていましたが、現在は暗いトンネルを抜け出して良好になっています。患者会の線維筋痛症友の会が主催の市民公開講座の講演を紹介します(市民公開講座は2018年9月30日に日本線維筋痛症学会第10回学術集会で開催)。

異変は突然、はじめての症状は朝のこわばりとめまい

訪問看護師のAさんが線維筋痛症を発症したのは10年ほど前でした。異変は突然だったとのことです。
はじめての症状は、朝のこわばりとめまい、関節の痛みでした。朝起きるとこわばってしまうので、グーパーと何回もやらないと家事ができない状態でした。
その5年後には手首と足首の関節も痛くなり、包丁を使うこと、コーヒーカップを持つこと、字を書くこともツラく、両腕を切り落としたいと思うほどでした。

8つの医療機関を受診、たらいまわしのドクターショッピング状態に

Aさんは当初、関節リウマチと思って整形外科を受診しましたが更年期障害ではないかと言われてショックを受けました。次に婦人科に行ったところ、更年期障害には関節の痛みはないので整形外科に行きなさいと言われました。
その後は、別の産婦人科やリウマチ科を紹介されましたが原因はわからず、手の外科を受けると腱鞘炎(けんしょうえん)と言われることもありました。
まさに、ドクターショッピングという「たらいまわし状態」でした。結局、合計で8つの医療機関を受診しましたが、問題の解決に至らなかったのです。

多様な症状に応じた治療により改善

Aさんは、何をするにも痛くて動けないことにいら立ち、ストレスが高まっていたなか、東京リウマチペインクリニック院長の岡寛先生を受診し、線維筋痛症と診断されて、痛みの治療薬としてはサインバルタ、ワントラム、ノイロトロピンなどを処方されました。
また、痛みとあわせて疲労や倦怠感にも悩んでいました。疲労がひどかったので、仕事や家事などの活動は1日につき1つのことしかできないほどでした。処方されたのは、自費診療のレボカルニチンと還元型コエンザイムQ10でした。

マイナス感情から解放されることが重要

治療効果は良好で、痛みに関しては治療前を10段階中10とすると、治療後は7段階に軽減しました。疲労も改善しました。
更年期の症状も重なっていたので、症状に応じた対応策があることが病気の改善に重要とのことでした。
マイナス感情から解放されたこともプラスになって、現在は症状が良好になっています。
Aさんは、「痛みや疲労、倦怠感に苦しんでいるときはマイナスな感情に支配されてしまいます。しかし、解放されると前向きになって、自分の病気に向き合えるようになりました」。
Aさんは現在、認知症や終末期医療(ターミナルケア)の訪問看護師として働いています。暗いトンネルから抜けだして、光が見えてきたことで活動的になりました。ヨガや楽器のサックス演奏に励んでいます。アイドルのコンサートにも行けるようになりました。

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公開日:2019/01/09
監修:東京リウマチ・ペインクリニック院長 岡寛先生/線維筋痛症友の会理事長 橋本裕子さん