疾患・特集

リウマチ治療で注意すべき薬剤の飲み合わせ チーム・リウマチの診療現場(3)

関節リウマチ患者さんが治療を受けるときは、服用、併用する薬剤には十分な注意が必要です。薬剤の効果を弱めるサプリメントや、妊娠を希望する場合に服用できない薬剤があります。世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科の医師、看護師など多職種のスタッフからなる「チーム・リウマチ」の取り組みから、治療内容や注意点を患者さんと共有する方法について紹介します。

抗リウマチ薬開始チェックシートを通じて患者さん、医療スタッフともに理解を深める

患者さんが診断された後、抗リウマチ薬*1の飲み薬(経口剤ともいいます)のメトトレキサート(製品名はリウマトレックス、メトレートなど)を中心に治療が開始されます。
その際に、抗リウマチ薬チェックシートを用います(表1)。これは、患者さんと医療スタッフともに治療内容を理解するためのものです。

表1:抗リウマチ薬(メトトレキサート)内服前チェックシート

      年  月  日
説明者  :
患者氏名 :

提供:世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科

青汁やセサミンはリウマチ治療薬の効果を弱めることがあります


写真はイメージです

治療開始に向けて、まず担当医からメトトレキサート服薬の説明を行われます。その後、医師の説明と重なりますが、看護師から患者さんへ内服する必要性をしっかりお話します。
患者さんに合った内服方法を確認しながら、寛解が導入するまで状態を見ながら増量すること、効果が出るまで4~6週間かかることを説明します。また、患者さんが自覚し得る症状として出現する口内炎、むかむか感・空咳、脱毛などの副作用について、しっかりお話しします。
そして、ほかの血球減少・肝機能障害・腎機能障害のリスクは担当医が定期的に採血検査で確認していくことを説明します。
葉酸などのサプリメントや栄養補助食品では、青汁・セサミンなど摂っているかたも多くいますが、これはメトトレキサートの効果が減弱させてしまいます。このため、葉酸を含むサプリメントの摂取は中止するようにお話ししています。
もし、患者さんがサプリメントの内服を希望する場合は「容器の後ろの成分を読んでから飲んでください」「成分などが判らない時はサプリメントをお持ちください」と説明しています。

患者さんは「妊活」は注意、風疹・麻疹のワクチンを接種できない薬剤あり

そして、同クリニックでは妊娠計画や妊娠希望の有無なども丁寧に聞き取りをしています。
あまり周知されていませんが、メトトレキサートなどで治療中のかたには生ワクチンの接種は禁忌であることもお伝えします。つまり、風疹、麻疹ワクチンの接種はできません。
治療開始時に妊娠計画、妊娠希望を聞き取ることによって、のちのち患者さんからもパートナーができたとき、結婚したときの報告など、相談しやすい環境を提供できるようになりました。
妊娠適齢期で、特にメトトレキサート内服開始となる患者さんには、妊娠希望時から1ヵ月間休薬し、生理が来て2度目の生理がきたら妊娠可能とお話ししています。

理学療法士が加わるリウマチパス

抗リウマチ薬開始チェックシートの最後にある日常生活上の身体機能評価(HAQ*1)をチェックして、理学療法士による身体測定をします。 身体測定で問題がなければ、患者さんは生活指導を受けるのみですが、もしも、身体測定で問題あればリハビリを導入して患者さんの生活動作改善、筋力UP、関節保護と可動域の改善などを目的としてリハビリテーション実施します(表:リウマチ診療の分業化とその役割分担)。

表:リウマチ診療の分業化とその役割分担 リウマチ診療の分業化とその役割分担

最後に心配ごと・不安なことがある場合は、同クリニックにいつでも電話連絡するようにお話して、安心感を持ってもらいます。

生物学的製剤の治療開始時にもチェックシートで注意点を確認

治療の第一段階となるメトトレキサートを服用しても効果が不十分だった場合には、関節リウマチの発症や悪化の原因となる体内の物質(腫瘍壊死因子(TNF)-α、インターロイキン(IL)-6やT細胞などのサイトカインといいます)をターゲットにした生物学的製剤*2あるいは分子標的薬の適応となります。
このときも同様にチェックシート(表2)を使用して、治療を受ける時の注意点を、患者さんも医療スタッフも確認します。

表2:生物学的製剤導入チェックリスト

      年  月  日
説明者  :
患者氏名 :

提供:世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科

治療においては、患者さんが体を動かせるようになるためのリハビリテーションなどがあります。クリニックのスタッフは、ある方法を使って患者さんの気持ちがわかるようにしています。次回は、患者さんになり切る工夫について紹介します。

  • *1:抗リウマチ薬は病態にかかわる免疫の異常を改善させて病気の進行を止める薬です。疾患修飾性抗リウマチ薬とも言われます。
  • *2:生物学的製剤は病気にかかわる腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン(IL)-6などが体内で活性することを抑制する薬です。点滴注射や皮下注射、自己注射があります。

監修:吉田智彦先生

吉田智彦先生

所属学会
日本内科学会、日本リウマチ学会、日本臨床リウマチ学会、日本リウマチ学会 リウマチ指導医、日本アレルギー学会、日本糖尿病学会 など
略歴

芝学園(東京都港区)卒業
聖マリアンナ医科大学大学院卒

聖マリアンナ医科大学病院リウマチ膠原病アレルギー内科に入局し同大学病院でリウマチ膠原病の診療にあたりながら、難病治療研究センターに所属して研究に従事しました。
平成10年12月から長野県埴科郡坂城町の父のクリニックで診療をはじめ、
平成12年4月~平成14年3月:日産厚生会玉川病院で診療。
平成17年4月~平成18年5月:児玉経堂病院リウマチ内科で診療。
平成18年6月に世田谷区に日本で初めてのリウマチ膠原病の専門クリニックとして世田谷リウマチ膠原病クリニックを開業いたしました。
現在は、世田谷リウマチ膠原病クリニックと長野県埴科郡坂城町の東信よしだ内科の2施設でリウマチ膠原病診療にあたりながら、全国で講演、学会発表、論文発表、市民公開講座などを行っています。

世田谷リウマチ膠原病クリニック
URL:http://www.setagayariumachi.com/

東信よしだ内科・リウマチ科
URL:http://nagano-riumachi.com/

公開日:2018/12/21