がんで怖いのは、突然の骨折、麻痺による下半身不随です。最近、がんで逝去された女優さんが亡くなられる1ヵ月前に骨折を起こしていました。骨折や麻痺のおもな原因は、がんの骨への転移です。体のどこにがんの骨転移が起こりやすいのか、麻痺の予兆とはどういうものかについて、大阪国際がんセンターの田平芳子さんに聞きました。
がんを発症すると、骨に転移することがあります。骨転移により痛みや麻痺(しびれやふらつきなどです)を感じることがあり、ひどくなってくると、いきなり骨折がおきたり、麻痺によって下半身不随になってしまうこともあります。
大阪国際がんセンター緩和ケア認定看護師の田平芳子さんによると、骨転移がおこりやすいのは背骨と腰まわり、二の腕と太ももで、9割を占めるとのことです。
がんロコモになると、痛みや麻痺などにより歩きにくくなることをはじめ、日常生活に大きな支障をきたします。ときに、通院が困難になって治療を継続できなくなったり、要介護になったりするリスクが高まります。問題は、要介護になると回復することが難しいといわれていることです。
そこで、「がんロコモ」(がんとロコモティブシンドローム:運動器症候群)への対策を、早い段階から実施することが重要となります
大阪国際がんセンターでは、骨転移による骨折や麻痺を予防するためのがんロコモ対策として、「こんな痛みに要注意」を以下に掲げています。
「とくにきっかけなく生じてきた痛み」、「週を追って徐々に悪化する痛み」がポイントで、思い当たる原因もなく、悪化してきているかどうかが重要です。ガマンできるかどうかの判断ではありません(図)。
田平さんによると、放置すると骨折や麻痺の危険がありますが、この段階で慌てる必要はないといいます。医療機関に相談して早めに対処すれば、がんロコモを予防、ケアすることができ、最終的には治療費も安くなるとのことです。
提供:大阪国際がんセンター
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