糖尿病を放置していると、合併症として足にしびれや痛みを起こすことがあります。悪化すると、足潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)を発症する可能性があります。最悪の場合、足を切断することがあります。発症要因は高血糖による神経障害や血流障害、また免疫力低下、つまり体の抵抗力の低下などが挙げられます。このなかで、最も早期に発現するのが糖尿病神経障害です。糖尿病神経障害に関して、家庭で簡単にできる神経障害のチェックを含めて説明します。
日本糖尿病対策推進会議が2006~07年に行った調査によると、糖尿病と診断されて平均10年が経過した患者の半数近くで糖尿病神経障害が認められたとの報告があります。
糖尿病神経障害は、高血糖状態により血液の流れが悪くなって神経に栄養や酸素が供給されなくなると、痛みや温度、触覚などを伝える感覚神経、手や足の動きに関与する運動神経、自律神経といった細い神経系の末梢神経に悪影響を及ぼします。
足にやけどを負っても気付かないケース、画鋲が足に刺さっても痛みを感じにくいといったケース、足の指が変色しているのに何も感じないケースがあります。
これらの神経障害は、糖尿病の合併症として早期から発現します。糖尿病の罹病期間が長くなるほど発症頻度が多くなります。
糖尿病患者で足の感覚がない場合は要注意です。そこで、家庭でできる糖尿病神経障害のチェックテストとして、Ipswich タッチテスト*があります。足の指を触ってもらうことで感覚があるかどうかを調べられるものです。
* Diabetes Care 2011;34(7):1517-1518
糖尿病神経障害は、合併症のなかで最も早く発現しますが、さまざまな症状に気付かない場合もあります。早期の発見と適切な対応が重要です。Ipswichタッチテストは糖尿病神経障害を家庭で簡単にチェックできますので、おすすめです。