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子供のアレルギーは身近に!皮膚科、耳鼻科、小児科で受けられるアレルギーの検査方法

日本では約2人に1人がアレルギー疾患にかかっており、子供のアレルギー疾患も身近です。アレルギー検査にはいくつか種類があり、それぞれの検査方法を組み合わせてアレルゲンの特定を行うことが重要です。

アレルギーはかかりやすい病気

平成23年8月厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会の報告書によると全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していることから、アレルギー疾患はより身近になっていることがわかります。

皮膚科、耳鼻科、小児科で行っている検査は、血液検査、皮膚テスト、除去・誘発テスト(食物除去試験・食物経口負荷試験)などがあります。いずれも検査方法を組み合わせてアレルゲンの特定を行うことが重要です。

血液検査とは

血液を注射器などで採血し検査をします。検査結果が分かるのは採血してから3~7日ほどです。注射を怖がる子供に対して、医療機関によっては指先やかかとから2,3滴ほどを採血して検査する方法も行っています。

アレルギー反応の数値として注目するのは、IgEの数値です。正常値は、1歳未満:20 U/ml以下、1-3歳:30 U/ml以下、4-6歳:110 U/ml以下、7歳以上:170 U/ml以下です。この数値が基準値より高ければアレルギーを起こす準備ができている、または起こしている可能性が高いと言えます。

特異的IgE検査(RAST)

この検査は多くのアレルギー物質に対しての血液中のIgEの数値を調べますが、食物アレルギーに対してはあまり信用できる結果は得られないそうなので、参考程度にとどめておくことが賢明です。
皮膚に対してのアレルギー物質のダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、動物などに対しては、ある程度信用できるIgE数値の検査結果がわかります。

非特異的IgE検査(RIST)

アレルギーの原因を特定する検査ではなく、年齢ごとに決められた正常なIgE数値を参考にアレルギー体質の強さを検査する方法です。非特異的IgEは、全ての特異的IgE抗体の総和で示されます。
こちらも年齢と共に正常値は増加します。正常値は170IU/ml以下で、乳幼児は30IU/ml以下です。この数値が高いからと言って、アレルギー症状がひどくなるとは限りません。あくまでもアレルギー症状を起こす可能性を示す数値ということを理解しておきましょう。症状の程度を知るためには、ほかの検査をします。

ヒスタミン遊離試験

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎に関してはヒスタミン遊離試験で信用できる検査結果を得られるようですが、検査できる項目は少ないです。
例えば、卵白、牛乳、小麦、蕎麦、ピーナッツ、エビ、カニ、ゴマです。またヒスタミン遊離試験はアトピー性皮膚炎の原因のひとつであるヒト汗抗原、カンジダ、ヤケヒョウダニのアレルギー数値を調べることができる検査方法でもあります。
数値がクラス分けされており、判定は陽性、擬陽性、陰性となっています。

皮膚テストとは

アレルギーにも即時型アレルギーと遅延型アレルギーがあります。即時型アレルギーは、抗原が作用してから15分~12時間くらいの短時間で反応するアレルギーで、せまい意味で「アレルギー」という場合、多くはこの即時型のアレルギーを指します。遅延型アレルギーは、抗原を体内に取り込んで半日から数日たって反応がおこるアレルギーで「化粧品かぶれ」、「うるしかぶれ」などは、遅延型アレルギーに分類されます。

即時型アレルギーを調べる方法は、プリックテストとスクラッチテストがあります。アレルゲン液を前腕屈側や背中の皮膚に一滴落として、皮膚表面に小さな傷を付け反応をみます。
傷自体に反応することがあるため、比較対照として生理食塩水を使用しその反応と比較します。検査時間も15分~と短いため、取り入れやすい検査方法です。

皮膚テストの中に遅延型アレルギーを調べるためのパッチテストがあります。多くのアレルゲンを一度に検査できるため、手軽に行われています。健常皮膚に48時間アレルゲンを貼付し湿疹などが出ていないかを判定します。

食物除去試験・食物経口負荷試験とは

食物アレルギーの確定診断には必要な検査といえます。血液検査や皮膚テストで確定できないアレルギーの原因を特定します。

食物除去試験の検査方法は、まずは原因となる可能性のある食物を食事から抜いた後、1~2週間完全に食べないようにして(完全除去)、症状(主に湿疹や胃腸症状)がおさまるかどうかをみます。

食物経口負荷試験は、アレルギーが疑われる食品を分割摂取させて症状の出現を観察するという方法です。食物アレルギーの最も確実な診断法ですが、アナフィラキシーのような重篤な症状を伴う危険性があるということは理解しておかなくてはなりません。リスクを伴うので、医師の監視下で行うことが望ましいとされています。

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公開日:2016/10/24