排尿は人間にとって欠かすことのできない活動で、この一連の機能のいずれかに問題が生じると排尿障害となります。排尿障害の症状はさまざまで、それぞれに原因があるため、その治療方法も異なってきます。それぞれの原因と治療法を解説します。
尿は血液の中から老廃物や有害物質などを排出するために腎臓で作られます。腎臓から尿管を通り膀胱に溜められ、ここが尿で満たされると尿意を催し、尿道を通って排出されます。
排尿は人間にとって欠かすことのできない活動で、この一連の機能のいずれかに問題が生じると排尿障害となります。
排尿障害の症状はさまざまで、尿が途切れる、尿が出づらいなどの排出の症状、夜間に何度も目覚めてしまう蓄尿の症状、排尿したはずなのに残尿感がある尿排出後の症状などそれぞれに原因があるため、その治療方法も異なってきます。
排尿障害の初期段階で処方されるウラピジルには尿道の筋肉の緊張を緩和し、尿道を拡張する作用があります。
また、血圧を下げる効果もあるため、高血圧患者にはその対策としても有効ですが、血圧が下がってはいけない場合には注意が必要です。そのために、ウラピジルと比較して、起立性低血圧の副作用の可能性が低いシロドシンが用いられることもあります。
加齢とともに増える男性の前立腺肥大症に伴う排尿障害ではウラピジルも処方されますが、そのほかに前立腺肥大症に男性ホルモンであるアンドロゲンが関わっているため、このアンドロゲンの作用を抑制する抗アンドロゲン剤と、2014年から尿管を拡張するタダラフィルも使用されています。
女性で多いのは過活動膀胱。過活動膀胱は膀胱が必要以上に収縮してしまい、頻尿や失禁してしまうといった症状が現れる病気です。
この過活動膀胱に対する薬物療法では、その収縮に関わっているアセチルコリンのはたらきを抑制する抗コリン剤が使用され、これは男性の前立腺肥大症患者に対して処方されることもあります。
また、膀胱や尿道の機能はほとんど問題がなくても、骨盤底筋の緩みなどで起きる腹圧性尿失禁では、ちょっとした咳や運動によりお腹に力が入ると、尿が漏れてしまうことになります。この腹圧性尿失禁では、尿道括約筋を強くするクレンブテロールが使用されます。ただ、その根治には手術も考えなくてはならないかもしれません。
排尿障害では、東洋医学の考え方が用いられることもあります。いわゆる漢方薬では、猪苓湯(ちょれいとう)や竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)を膀胱炎の治療に、八味地黄丸、八味丸を高齢者の頻尿に、神経性のものに対しては清心蓮子飲(せいしんれんしいん)などが処方されます。
排尿障害はさまざまな要因で起きる障害で、その中には心因性のもの、薬物の影響によるものもあります。排尿障害の原因となる可能性のある薬物の中には、風邪薬やアレルギー対策に用いられる抗ヒスタミン剤などもあり、注意が必要です。
また、上に挙げた抗コリン剤が排尿障害の原因となることもありますので、排尿障害の薬はその原因と症状により、使い分けが必要になります。原因と症状が人それぞれである排尿障害の治療では、専門医の指導に従うことが必要なのです。