疾患・特集

運動療法に着目した生活習慣病の予防と改善

糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の治療のひとつ、運動療法について、その効果と運動の仕方について解説します。

生活習慣病の改善の基本である運動療法とは

成人病としてもよく知られている生活習慣病は、ご存知の方も多いことでしょう。糖尿病や高血圧、脂質異常症や虚血性心疾患などの生活習慣病を改善する基本には、「運動療法」があげられます。

運動療法とは、疾患や障害の改善のために運動を活用する方法です。運動療法は、すでに生活習慣病にかかっている方の改善だけではなく、生活習慣病の予防にもつながります。

では、運動療法は続けると具体的にどのようなメリットをもたらすのかをみていきましょう。

運動療法のメリット

運動療法の主なメリットとして、下記のようなメリットがあげられます。

(1)高血圧の予防・改善
国内の研究結果によると、適切な運動療法を10週間続けることで、10mmHg~20mmHgの血圧の低下がみられる例が報告されています。また、運動療法は血圧が上がることを抑えてくれるため、糖尿病の予防や改善にもつながります。

(2)ストレス解消
運動を取り入れることで、日頃溜まったストレスが発散されやすくなります。気分がすっきりして、気持ちがよくなることで、生活習慣病の大敵であるストレスとうまくつきあうことができるでしょう。

(3)肥満解消
運動によって体のエネルギーを使うことにより、体に蓄えられた余分な脂肪燃焼を促すはたらきがあります。

(4)脂質異常症の予防・改善
トリグリセライド(中性脂肪)を減らし、HDL(善玉)コレステロールを上昇させます。これは、運動によりリポ蛋白代謝に関わる酵素の活性が増加することによってみられます。

(5)癌の予防・改善
血液の循環がよくなり、心肺機能の強化や代謝を促進し、免疫力が高まることから癌予防や改善につながります。

運動療法を始める前に気をつけること

このようなメリットが期待できる運動療法は、日常生活に取り入れやすいことから始めると長続きします

日常生活に取り入れやすい運動方法としては、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動があります。そのほかにも、スイミングやストレッチなどもおすすめ。

運動療法は長く続けることによって改善がみられます。しかし運動療法は、やり方を間違えると体への負担を強くしてしまい、病気が悪化する場合もあります。特に、癌などの病気の場合は、激しい運動は避けたほうがよいでしょう。

運動療法は、必ず無理をせずにご自身の体調と相談しながら、自分にあった無理のないやり方を続けることが望ましいでしょう。また、すでに生活習慣病にかかっている方は、医師に相談の上、医師の指導のもとで運動療法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

公開日:2016/04/04