疾患・特集

国も支援!生活習慣病対策

栄養バランスの偏った食事や運動不足、喫煙、過度な飲酒、ストレスといった生活習慣が原因とされる病気を総称して生活習慣病と呼んでいます。国が推進する「健康日本21」をはじめ、国の生活習慣病対策について、解説します。

生活習慣が病気の原因

人間はさまざまな要因で病気になります。その原因のうち、栄養バランスの偏った食事や運動不足、喫煙、過度な飲酒、ストレスといった生活習慣が原因とされる病気を総称して生活習慣病と呼んでいます。

生活習慣病には高血圧、脂質異常症、糖尿病、脳血管疾患などがあり、肥満はこれらのリスクを上昇させます。かつて、これらは成人病と呼ばれました。しかし、これら疾患のリスクが加齢により増加する傾向はあるものの、必ずしも加齢が原因ではないために、現在は生活習慣病と呼ばれています。

国が推進する「健康日本21」

1978年、国は「国民健康づくり対策」を策定、生涯を通じての健康づくりの推進や、栄養と運動、休養を健康づくりの3要素として、健康増進事業を推進することとしました。そして、この「国民健康づくり対策」は2000年、「21世紀における国民健康づくり運動」となり、これは通称「健康日本21」と呼ばれています。

健康日本21の主な目的は、生活習慣病の予防と、生活の質の向上を実現することです。そのために、健康課題の優先順位の決定、食生活、運動、心の健康、喫煙、飲酒、歯の健康、糖尿病、循環器病、がんの合計9つの分野において、具体的な数値目標を設定しました。

数値目標と生活の指針

健康日本21では、1日に摂るべき野菜の量など、生活習慣病予防のための指針となる個人目標が設定されました。また、国や地方自治体だけでなく、企業や団体による特定健診・特定保健指導制度も実施、40歳以上の国民には検診などが義務づけられています。

そして、2000年から12年間続いた健康日本21は、2013年度から第二次ともいえる新たな健康日本21が開始しました。この第二次健康日本21では、「健康寿命の延伸」とともに「健康格差の縮小」も基本方針に掲げられました。

その中では、疾病予防と健康増進、介護予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できる。と謳っています。

平均寿命よりも健康寿命を重視

これら、国民一人ひとりに対する方針のほかに、国はさまざまな生活習慣病の診断技術、治療技術確立のための取り組みも行っています。また、臨床のための医療関係者を育成すると同時に、研究のための人材育成も図ります。

日本は世界でも有数の長寿国となっています。平均寿命はトップクラスで、高度な医療制度も備えています。しかし、認知症や寝たきりになってしまうといったケースが目立つ今、平均寿命よりも、日常的に介護を必要とせず、自立した生活を送ることが出来る健康寿命が重視されてきています。

指針を生活の目安に

国としても、国民の健康のためにさまざまな取り組みを行い、現在もその対策などが政策課題として議論され続けています。生活における国の指針は、国民に対して一定の生活習慣を押しつけるものではありませんが、生活習慣病の予防のための目安とすることは可能なのではないでしょうか。

公開日:2016/03/14