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大麦朝ごはんでセカンドミール効果!食後血糖値の上昇がおだやかに

大麦に多く含まれる、水溶性食物繊維をご存じですか?野菜や豆類に含まれる食物繊維とは違い、水に溶けやすく血糖値の急激な上昇を防ぐ効果が期待されています。

野菜や豆類だけでは十分に摂れない食物繊維がある!?

食物繊維が健康の維持に欠かせないことは、常識と言ってもよいほど広く知られています。そのため健康に気をつけている方は、食物繊維の摂取を目的の一つとして、普段から意識的に野菜や豆類を食べているかもしれません。野菜や豆類が、食物繊維が豊富だということは確かです。しかし、実はそれらを食べるだけでは、食物繊維の摂取が十分ではないことをご存じでしょうか?

ほとんどの野菜や豆類に多く含まれているのは、2種類ある食物繊維のうちの1種類「不溶性食物繊維」(水に溶けにくいタイプ)です。もう1種類の「水溶性食物繊維」(水に溶けやすいタイプ)は、あまり含まれていません。水溶性食物繊維には、生活習慣病の予防やダイエットをサポートするはたらきがありますが、野菜や豆類だけでは水溶性食物繊維を十分に摂取できません。そこでおすすめの食品が、水溶性食物繊維が豊富な大麦です。

2種類の食物繊維の違い

●不溶性食物繊維

水に溶けにくいタイプで、野菜や豆類などに多く含まれます。
胃の中で水分を吸うと膨張して、満腹感が持続させます。
また、便の量を増やしたり、便を正常な硬さにしたりするはたらきもあります。

●水溶性食物繊維

水に溶けやすいタイプで、大麦に多く含まれます。
胃の中で水分を吸うと粘り気が増して、消化・吸収を遅らせて食後血糖値が急激に上がるのを抑えます。
また、余分な塩分やコレステロールを体外に排出するはたらきもあります。

大麦は、古くは紀元前6000年頃のメソポタミア文明を発祥とするイネ科の植物で、麦ごはんや麦茶などに用いられる六条大麦や、ビール・焼酎・ウイスキーなどに用いられる二条大麦といった種類があります。日本では稲作が始まった弥生時代に中国から伝わり、昭和の頃は家庭でよく食べられていました。野菜や豆類とともに、市販の麦ごはんや大麦入りの雑穀ごはんなどを食べることで、2種類の食物繊維をバランスよく摂ることができます。

「大麦β(ベータ)-グルカン」で期待できる、生活習慣病の予防&ダイエット効果

大麦
By Craig Nagy
(originally posted to Flickr as Barley)
[CC BY-SA 2.0],
via Wikimedia Commons

大麦に含まれる水溶性食物繊維「大麦β(ベータ)-グルカン」には、食後に血糖値が急上昇するのを抑えるはたらきがあります。血糖値が急激に上がると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは、糖や脂肪を内臓脂肪としてためこむはたらきがあるので、食後の血糖値の上昇を抑えることで、内臓脂肪がつきにくくなります。さらに、大麦β-グルカンには内臓脂肪を減らす作用もあり、ダイエット効果が期待できます。そのため大麦は、肥満や動脈硬化、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病が気になる方やその家族、ダイエットを考えている方にうれしい食品だと言えるでしょう。

食べてうれしい大麦パワー!

  • ●食後の血糖値の上昇を抑える
  • ●心臓病のリスクを下げる
  • ●コレステロール値を低下させる
  • ●内臓脂肪を減らす
  • ●腸のはたらきを正常に保つ
  • ●便秘を改善させる …など

忙しい朝は、クラッカーやスープで手軽に大麦を!「セカンドミール効果」に期待

食物繊維を1日の最初の食事(ファーストミール)で摂ると、次にとった食事(セカンドミール)の後の血糖値の上昇を抑えることは、「セカンドミール効果」として知られています。食後の血糖値の上昇を抑える大麦のはたらきをより効果的に生かすには、セカンドミール効果を期待して、できれば朝食として食べるのがおすすめです。それにより昼食、さらには夕食後の血糖値の上昇をやわらげることができます。大麦を含んだクラッカーやスープ、グラノーラなどを利用すれば、忙しい朝でも手軽に大麦を食事に取り入れることができます。毎日の朝食に、香ばしくておいしい大麦を、ぜひ取り入れてみましょう。

公開日:2015/09/14