疾患・特集

数年ごとに流行を繰り返す「風疹」にご用心!

数年ごとに流行する傾向にある風疹。女性が妊娠初期に風疹を発症すると胎児に悪影響を及ぼすこともあります。少女期に予防接種を受けていない女性は特に注意が必要です。

主な症状は、リンパ節の腫れと発熱

春から夏にかけてかかる人が多い感染症のひとつに、風疹があります。俗に「三日はしか」とも呼ばれ、数年ごとに流行する傾向にあります。特に2012年の夏は、年半ばにして過去の年間報告数を大きく上回る、大流行の年となりました。
典型的な症状は、首や耳の後ろにあるリンパ節の腫れや、その数日後に起こる、微熱から38度前後の発熱などです。さらに、色が薄く小さな発疹が、多くの場合は顔から出はじめ、全身にまんべんなく広がります。発熱や発疹は3日から数日程度で治まりますが、リンパ節の腫れは1ヵ月程度続く場合もあります。大人が感染した場合は強い関節痛もみられ、1週間ほど仕事を休むことも珍しくありません。

風疹の累積報告数の推移(2008年~2012年)
※2012年のみ第29週まで

風疹の累積報告数の推移
出典:国立感染症研究所 感染症発生動向調査(IDWR)
2012年29週(2012年7月25日現在)

法律の変わり目に生まれた人は、予防接種を受けていない!?

法律の変わり目に生まれた人は、予防接種を受けていない!?

風疹を引き起こす風疹ウイルスは、主にくしゃみなどで飛沫感染する。幼児や学童が感染すると集団感染となる可能性もあり、「発疹が消失するまで登校(登園)することはできない」と法律(学校保健安全法施行規則)でも定められています。
かつては中学2年生の女子を対象に予防接種が行われていましたが、法律の変わり目に中学時代を過ごした1979年4月2日から1987年10月1日に生まれた人は、予防接種を受けていないことが多いようです。予防接種を受けていない女性が、妊娠初期に風疹に感染すると、胎児に先天性の白内障や心奇形になるなどの影響を及ぼすこともあります。そのため、妊娠可能な年齢の女性やそのパートナーは、抗体検査や予防接種を受けておくことが望ましいといえます。なお、現在は乳児期から定期予防接種が行われています。

重症化することは少ないが、油断は禁物

風疹自体は、いわゆる「はしか」よりも感染力が弱く、重症化することはあまりないため、治療が必要となることは少ないようです。しかし、ツラいと感じる症状が続く場合は、解熱鎮痛薬などが処方されることもあります。また、ごく稀に合併症を起こす場合もあります。風疹と診断された後、強い疲労感や頭痛、けいれん、意識障害などの症状がみられたら、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

公開日:2012/08/13