脚がむずむずして動かしたくなる、虫が這うような不快感を覚えて眠れない…それは「むずむず脚症候群」かもしれません。むずむず脚症候群の原因や症状について詳しく解説します。
脚がむずむずして動かしたくなる、脚の内部に虫が這うような不快感を覚えて眠れない…。それは、もしかしたら「むずむず脚症候群」かもしれません。
むずむず脚症候群は、医学的には「レストレスレッグス症候群」(RLS)と呼ばれます。不快感を覚えるのは主にふくらはぎや太ももなどですが、腹部や臀部(でんぶ:お尻)、肩、腕、顔などの場合もあります。
症状が現れるのは夕方から夜が多く、なかなか寝つけないため、部屋の中を歩き回ってしまうこともあります。睡眠障害と過度のストレスから「脚を切ってしまいたい」と訴える患者さんもいるといいます。
日本における、むずむず脚症候群の患者数は、推定200万人以上と考えられています。40歳以上に多く、男性より女性のほうが1.5倍ほど多いと言われています。
むずむず脚症候群のはっきりした原因は不明ですが、「脳内におけるドパミンの調整機能障害」と「鉄分の不足」が、発症に大きく影響していると考えられています。
ドパミンは神経伝達物質のひとつで、この調整機能が正常にはたらかないと、脚に触れている衣服や寝具などの刺激が脳に過剰に伝わります。その結果、脳は不快感として受け取ってしまいます。夜間に症状が強くなるのは、ドパミンが作用する強さや体温が、時間帯によって変動することと関連しています。
鉄分の不足が関連するのは、脳内でのドパミンの生成には鉄分が欠かせないことによります。男性より女性の患者さんが多いのは、食生活や月経サイクルなどにより、鉄分が不足しやすいためだと考えられます。
前述の症状によって、日常生活に支障が出るようであれば、治療が必要となります。その際は、整形外科や皮膚科より、睡眠障害の専門医を受診するほうが望ましいです。
むずむず脚症候群だと診断された場合、症状が起こりやすい状況を避けることも、治療のひとつとなります。カフェインやアルコールの過度な摂取は控える、禁煙する、鉄分が不足しないような食事を心がけるなど、生活習慣を見直しましょう。日中に軽い運動をする、疲労をためすぎない、寝る前に脚のマッサージをするということなども、症状の軽減につながります。