パーキンソン病のおもな症状や、病気のしくみなどパーキンソン病の基礎知識について解説。手がふるえる、歩くとき前かがみになる、などの症状はありませんか?
何もしていないのに手がふるえ、歩くときに前かがみになる。こんな症状が現れたら、それはパーキンソン病かもしれません。そのほかに、歩幅が狭くなることや、歩くときに手の振りがなくなることも特徴的な症状です。バランスが悪くなって転びやすくなるせいで、骨折も多くみられます。多くの場合、手のふるえなどの症状は、初めは左右のどちらかに起きます。それがゆっくりと少しずつ進行していき、やがてもう一方にも起きるようになります。
この病気は60歳前後で発症する人が多いのですが、それ以上の高齢者や20代の若者に起きることもあります。なお、性別による差はほとんどありません。
…など
パーキンソン病は遺伝によって起きることがありますが、はっきりした原因は現在もまだわかっていません。そのため、厚生労働省より治療の難しい特定疾患のひとつに指定されています。
原因は解明されていないものの、パーキンソン病が起きるしくみで明らかになっていることもあります。脳内には血液の循環を促して体の動きを活発にさせるノルアドレナリンという神経伝達物質がありますが、これに変わる前の段階であるドパミンという神経伝達物質が、パーキンソン病の患者の脳内では減少していることがわかっています。
脳の一部である中脳には、筋肉の緊張をコントロールする黒質(こくしつ)と呼ばれる部分があります。ここの神経細胞で作られたドパミンが、大脳にある線条体(せんじょうたい)という部分へ受け渡されることで、体の動きに関する命令が伝わります。パーキンソン病の症状である体の動きの異常は、黒質の神経細胞が減り、ドパミンの数も減ることによって、体全体への命令がうまく伝わらないせいで起きていると考えられています。
手足のふるえや筋肉がかたくなるなどの症状は、ほかの病気でもみられることがあります。脳血管の病気である多発性脳梗塞(たはつせいのうこうそく)や、神経の病気である大脳皮質基底核変性症(だいのうひしつきていかくへんせいしょう)などがそれにあたり、ほかにも薬や毒物の影響で同様の症状が現れることもあります。パーキンソン病ではありませんが、似た症状が現れるこれらを総じてパーキンソン症候群と呼びます。
パーキンソン症候群と区別してパーキンソン病と認定される条件は、以下のようになっています。
次の4つを満たせばパーキンソン病と認定される。
1~3は満たすが4をまだ確かめていない場合は、パーキンソン病疑い症例とされる。
参考:難病情報センター パーキンソン病関連疾患(3)パーキンソン病
手のふるえだけが現れている時期では、患者やその家族はもちろん、医師でも専門外であればパーキンソン病かどうかの判断はなかなかつかないものです。正確な診断を受けるためにも、神経内科のある専門機関で専門医に診てもらいましょう。
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