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プチ湯治のススメ!週末は温泉でほっこりしたい

ストレスが多い現代社会では、温泉自体が持つ効能に加え、山・海・森など自然豊かな場所へ行くことによる「転地効果」にも高い注目が集まっています。休日を使って、温泉地での上手な過ごし方をご紹介します。

見直される温泉の効果

温泉

寒い冬は、温泉で心も体も癒したいもの。
日本人は昔も今も同じように、温泉の恩恵を受けています。古くは鎌倉時代に行われていた湯治の記録が残っているそうですが、それが一般庶民にまで広がったのは江戸時代のこと。高い薬代を払えず、「治療」を目的に多くの人が温泉地に向かったといわれています。また、農業や漁業など肉体労働従事者が多かったこともあり、疲れを取ったり、体調の管理にも大いに役立っていたのでしょう。

ストレスが多い現代は、温泉自体が持つ効能に加え、山、海、森など自然豊かな場所へ行くことによる「転地効果」にも高い注目が集まっています。働く女性の増加も手伝い、休日を温泉地で過ごし、リフレッシュしたいという女性向けのツアーなども増加しています。

■女性に人気のワケ!温泉の「正常化作用」

温泉への入浴、自然環境などが複合的にはたらき、ホルモンバランスを本来の姿に戻していくはたらきのことを「正常化作用」といいます。ぬるめの温泉につかっていたら思わずうとうと…なんて経験、だれにでもあるもの。これはリラックスホルモンと呼ばれる副交感神経が刺激されている証拠です。温泉につかって、ホルモンバランスを整えれば、自然治癒力も向上します。

編集部が厳選!冬におすすめの泉質

泉質 特徴 主な温泉地
ナトリウム-塩化物泉 海岸に近い温泉に多い泉質。「熱の湯」とも呼ばれ、保温効果が高く、湯冷めしにくいのが特徴です。 熱海温泉(静岡県)、指宿温泉(鹿児島県)、渋温泉(長野県)など
硫酸塩泉 硫酸塩泉は、大きく「石膏泉」「芒硝泉」「正苦味泉」の3つにわかれます。そのうち「芒硝泉」は、血行を刺激して、体の表面をコーティングするため、保温効果が高いのが特徴です。 黒川温泉(熊本県)、法師温泉(群馬県)、稲取温泉(静岡県)など
単純二酸化炭素泉 細かい泡が付着するのが特徴です。血液の循環がよくなり、血圧を下げる効果もあります。日本には少ない泉質なのが残念なところです。 長湯温泉(大分県)、黄金温泉(山形県)など

短期間でも入り方次第で効果あり!

その昔、本格的な湯治といえば、1週間を「1巡り」として、「この温泉を1巡りしたら、あの温泉を3巡り」といった具合に、1~2ヵ月の逗留もごく当たり前に行われていました。しかし現在では、2泊程度の短期間でも十分な効果が得られることがわかってきています。
ある機関が箱根の強羅温泉で行った「温泉療養プログラム」参加者6,000人に対する短期療養調査によれば、2泊3日の温泉療養で、体に痛みを訴えていた人の約52%が改善。血圧やコレステロールの平均値も低下したという結果が得られたといいます。

しかし、日ごろの喧騒から離れ、リラックスするだけでも十分心と体の休養ができます。そのためにも、(1)旅先に仕事を持ち込まない、(2)観光の予定を入れ過ぎない、(3)せっかく来たのだからと何度も入浴しない――の3つを心がけましょう。

■効果的なプチ湯治のポイント

  • 宿に着いたらまずひと休み
  • 入浴は1回15~20分を目安に、1日3回まで
  • 浴槽に入る前には十分「かけ湯」を
  • 入浴前後の水分補給を忘れずに!
  • ○○直後の入浴は避ける(食事、院sh酢、運動など)

ところ変われば!?たまにはこんな温泉も!

入浴法 内容
時間浴 高い温度の温泉を20分ほど湯もみして、浴槽の温度を下げ、30~40杯のかけ湯をした後、一斉に浴槽につかり、3分後、一斉に湯から出るというのを1日4回くり返します。群馬県の草津温泉が有名です。
持続浴 体温に近い36℃前後のぬるま湯に長時間入浴することで、皮膚から温泉成分をたっぷり吸収できます。群馬県の法師温泉、新潟県の栃尾又温泉などで行われています。
冷浴 20℃以下の低温の温泉に入浴します。神経痛やリウマチなどにも効果があるといわれています。大分県の寒の地獄温泉が有名です。
鉱泥湯 天然の泥が入った温泉は、保温効果も高く、泥のミネラル成分が肌をスベスベにしてくれます。大分県別府市の明礬温泉などが有名です。
蒸し湯 蒸気を満たした部屋に入ったり、小さな箱から首だけを出す入浴法です。新陳代謝が高まります。秋田県の後生掛温泉や熊本県の杖立温泉、大分県別府市の鉄輪温泉などが有名です。
熱気浴 温泉や地熱で熱くなった地面にゴザなどを敷き、その上に横たわります。秋田県の玉川温泉が有名です。
打たせ湯 少し高い位置から、滝のように落とした温泉を体の一部にあてるもの。温泉の圧力と温熱効果で、肩こりなどに効果があります。ただし、あまり長時間行っていると、体にダメージがあるので注意しましょう。

目的別に選びたい!温泉地ガイド

温泉地はさまざまな点から選ぼう

温泉は、その人に合った泉質を選ぶことが第一だが、それだけでなく、宿の料理や軽い運動ができる自然豊かな環境下にあるなど、さまざまな点から選ぶのがよい。短期間で行く場合は、行き帰りにあまり時間がかかってしまうと、疲れが溜まってしまう逆効果にもなりかねないので注意。

温泉地の環境効果いろいろ

  • …軽い山登りは、心臓や血管のトレーニングができ、呼吸運動も活発に。少し寒い地域であれば、皮膚は寒冷刺激を受けるので、血行の改善にもつながります。
  • …1日のなかでの温度差が少ないので、おだやかにすごせます。新陳代謝や心肺機能の向上、自律神経の安定などの効果があると言われています。
  • …木から放出されるフィトンチッドによるリラックス効果があります。森林浴はナチュラルキラー細胞の活性化につながるといわれており、免疫力の向上にも期待!

■クアハウスでリフレッシュ!

連休があまり取れない人におすすめなのがクアハウスでの運動&リラックス法です。温泉による冷えや疲労回復効果と、日ごろの運動不足を解消する歩行浴などもあり、全身をリフレッシュさせることができます。温泉療法医や健康運動指導士、温泉利用指導者といった専門家がその人に合ったプログラムを組んでくれるので、事前に相談しましょう。

公開日:2007/02/25