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地球にも体にも優しい!ウォームビズ

夏のクールビズに対して、冬の省エネ運動として注目されているのが「ウォームビズ」です。室温がいつもよりも数度下がるとなれば、体を冷やさないためのさまざまな工夫が必要になります。体を温めるための方法をご紹介します。

ウォームビズとは?

2005年の夏、環境省の主導で実施された「クールビズ(夏の軽装化)」運動。ビズとはビジネスからの造語ですが、地球温暖化防止のための省エネ対策として、オフィスなどの室温を高めの28℃程度に設定し、ノーネクタイ、上着なしを呼びかけた結果、オフィス街やテレビで、ネクタイなしの男性を見かけることが増えました。百貨店などの売り上げが衣料品を中心に増え、1千億円ほどの経済効果があったといいます。

それに対して、冬の省エネ運動として始まったのが「ウォームビズ」運動です。環境省は、オフィスなどの室温設定を20℃前後にして、低い室温でも快適に仕事ができる服装をしようと提案しています。ちなみに、クールビズで27→28℃と冷房の設定温度を1℃上げると、二酸化炭素の年間削減量(一般家庭における)は約5.9kg。一方、ウォームビズで21→20℃と1℃下げた場合には、約25.7kg。なんとウォームビズの二酸化炭素削減量はクールビズの約4.4倍にもなります。日本では年間通じて冷房より暖房日数の方が多いので、効果も大きいと期待されています。

暖房温度が低くなると、体はどうなる?

オフィスがいつもより4~5℃も温度が下がるとなれば、体を冷やさないためのさまざまな工夫が必要になります。女性はもちろん、最近隠れ冷え性の人が増加中といわれる男性にとっても、他人事ではありません。実際、体が冷えるというのは、大変なことなのです。

人間の体

人間の体は36.5~37℃の体温で、体内のさまざまな酵素が最もよくはたらくようにできています。そのため、暑いときは皮膚表面の血管に血液を多く流して温度を下げたり、汗をかいて体温を放出します。寒いときは、手足の末梢にある細い血管を収縮させて内臓がある体の中心部に熱を集めるのです。これはまた、熱が外に出ていかないようにする意味もあります。

ところが冷えが慢性的になると、自律神経の調節がうまくいかなくなり、風邪、便秘、アレルギーなど、さまざまな病気を引き起こしかねません。もちろん、暖房温度が低くなっただけで、病気になるわけではありませんが、寒いのを我慢し続けていると、体にかかるストレスが大きくなり、やがては病気につながってしまう恐れがあります。だからこそ、体を必要以上に冷やさない工夫が必要です。

衣服による冷え対策

衣服による冷え対策

衣服で体を温めることはとても大切です。足先、手先などの末梢部分、おなか、首、肩、そして特に女性は腰回りなどを重点的に温めましょう。

足先を温める

皮膚の表層にある血管は、低温になると収縮しますが、その中でも足の血流量の減少はとても大きく、皮膚の温度は室温ぐらいまで下がってしまいます。
対策としては、温かい素材の靴下やタイツなどを履くこと。指先が1本ずつ入る5本指の靴下もおすすめです。ブーツは足元の保温にはよいが、ヒールの高いものやサイズのきついものは避け、足首やふくらはぎの周りにゆとりがあるものを選びましょう。低温でも足は汗をかきやすいので、むれないように靴の中敷は圧縮してもつぶれない気泡性のあるものを使うとよいです。

重ね着をする

重ね着をすると、衣服と衣服の間にできる空気層により、保温性がより高まります。下着1枚着るだけで、セーター1枚と同じだけの暖かさを感じられます。汗を吸って体を冷やさないという点で、吸湿性の高い綿の下着は特におすすめです。いわゆる「ババシャツ」なども最近はスマートなタイプが増えています。また、この機会に、Tシャツやベストなどを使い、重ね着ファッションに挑戦するのもよいのではないでしょうか。

首回りを温める

首は頭部へ血液を送る大事な場所であると同時に、重い頭を支える筋肉が緊張して血流が滞りやすい部位でもあります。スカーフやマフラーを持っておき、首回りはスマートに温めましょう。

食生活の工夫で冷え対策

食生活の工夫で冷え対策

食べ過ぎ飲み過ぎは胃腸に負担をかけ、胃腸に血液を多くとられてしまうことから手足の冷えの原因となります。冷え対策に限ったことではありませんが、規則正しくバランスの取れた食生活を心がけましょうう。そのほか、この季節に心がけたい主なポイントは次の通りです。

根菜類、たまねぎなどを食べる

漢方では寒い地方でとれるものや、冬に収穫されるものは体を温めるとされます。

丸ごと食べる

野菜や穀物の皮、魚の内臓などには、ミネラルなどの栄養素がたっぷり。野菜はなるべく農薬の使用が少ないものを選び皮ごと使いましょう。玄米や全粒粉パン、煮豆、ちりめんじゃこなどもおすすめです。

甘いものは控えめに

砂糖の原料となるサトウキビは熱帯産で、体を冷やす作用が強いようです。洋菓子より和菓子、水分の多い生の果物よりドライフルーツがおすすめです。

コーヒー・緑茶より紅茶・中国茶

お茶やコーヒーは体を冷やしますが、紅茶やウーロン茶など発酵させたお茶は体を温めます。

暖房に頼らず冷えにくい体質に改善することで、病気にかかりにくい体質になれば、ウォームビズは地球に優しいだけでなく、自分の体にも優しい取り組みになるかもしれません。ぜひ、この機会に生活全体を見直してみましょう。