疾患・特集

女性のココロと体をトータルで診る!女性外来

女性外来ってどんなところ?

女性外来ってどんなところ?

男と女では、体の構造は当然異なる。その違いに注目し、女性のココロと体をトータルに診る女性外来が、全国各地で増えてきている。

男性と女性ではかかりやすい病気が異なるうえ、同じ病気でも症状や薬の作用が大きく異なることがある。このことがアメリカでは10数年前から注目され、性差に基づく医療が始まっている。日本では、90年代終わり頃から女性医師たちが活動を始め、2001年5月に鹿児島大病院にできたのを皮切りに、各地の病院が女性外来の窓口を設け始めた。

専門窓口ができてみると、患者が殺到し、数ヵ月先まで予約がいっぱいになったという病院もある。「じっくり話を聞いてもらえなかった」「話をしても男性医師には症状のつらさを理解してもらえなかった」「男性医師には相談しにくかった」と訴える女性患者が大勢いるそうだ。また、女性は、仕事の他にも親の介護や思春期の子どもを抱えていたり、男性と比べて病気の背景に人生そのものが複雑に関わっていることが多い。女性外来はおのずと、女性の「ココロ」と「体」を総合的に診ることになるようだ。

女性と男性の体の違い

男性と女性でかかりやすい病気が異なるのは、女性が「産む性」であり、女性の体がエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの影響を受けているため。
では、具体的には女性は男性とどう違うのだろうか。例えば、コレステロール値。40代未満は男性のほうが高いが、40代になると男性の値が下降を始める一方で女性の値が上昇し、男性より高くなる。そして、50~70代まで女性のほうが高い値を持続する。女性ホルモンはコレステロールから作られるため。更年期に入ってコレステロールが女性ホルモンに転換される量が減る。女性ホルモンによるコレステロール低下作用が弱まるためである。

また女性は、周期的に女性ホルモンの影響を受けることで心が不安定になりやすい。女性ホルモンの分泌が衰える更年期には、さまざまな心身のトラブルが起こりやすくなるなど、一生を通して大きく体が変わっていく。そのことが、生殖器官だけに留まらず女性と男性の違いを生み出している。

ピンクリボンフェスティバルとは?

乳がんの早期発見を啓発するための活動で、9月下旬から10月にかけて、東京と神戸で開催される。乳がんは、日本では女性の30人に1人がかかると言われる。早期発見をすれば十分治癒も望めるがんであるにもかかわらず、年々死亡者数が増えていることから始まったもの。積極的に健康診断を受けたい病気だ。

女性外来の診療プロセスとは?

女性外来は現在、北海道から鹿児島までほとんどの都道府県に各1ヵ所以上ある。「女性のための」と銘打った専門病院もあれば、総合病院に週数回外来を設けるところ、婦人科を標榜するクリニックなど、さまざまである。

女性外来の診療プロセス

STEP1カウンセリングで、症状だけでなく悩みや不安もじっくり聞いてくれる
STEP2症状や悩みに応じて、どの科を受診すればよいかアドバイスをもらえる
STEP3専門医による診察を受け、治療を始める
※家から遠い場合は、近くで適切な病院を紹介してくれることもある

女性外来 Q&A

患者Q. 女性外来はどんな症状のときに受診したらいいの?

先生 A. 女性外来には治療だけでなく、健康相談を受付けているところもある。生理不順、更年期障害、イライラ、だるい、腰痛、肩こりなど、どんな症状でも診てもらえるだろう。

患者Q. 女性外来にはどんな治療法があるの?

先生 A. 女性外来では、治療の方針も一緒に考えてくれる。ときには、漢方薬や運動療法を取り入れることも。治療に関する希望や不安があれば、じっくり相談してみよう。

患者Q. 女性外来の治療費はいくらぐらい?

先生 A. 基本的に保険が使えるが、医療行為を行わないカウンセリングなど一部で保険が使えず自費診療となることも。カウンセリングの費用は、1時間6,000円~8,000円など医療機関によってさまざまなので、事前に電話で確認しておくと安心。

精神的なストレスが背景にある場合、最初のカウンセリングで症状や悩みを聞いてもらえるだけで安心して症状が軽くなるケースもある。不調はあるけれど、どの病院にいけばいいか分からないといった悩みを抱えている女性は、ぜひ女性外来に行ってみよう。

公開日:2005年9月26日