疾患・特集

汗かき上手はにおわない!?

「爽快な汗を思い切り流してみたい!」そんな人が増えているのか、最近、健康志向派の注目を集めているのが「岩盤浴」。岩盤浴とは、温かい石の上に寝転がるサウナのようなもの。体を内側から温め、老廃物を排出して新陳代謝を活発にする。さまざまな健康効果が期待できるとされるが、その秘密は「発汗作用」にある。そこで今回は、「汗」が持つさまざまな役割について迫ってみよう!

汗かき下手が増えている?

温暖化の影響か、暑い日がぐっと増えた近頃の夏。ところがその一方で、汗をかきやすい人は減りつつあるといわれている。理由は、私たちの体が温度変化についていけなくなっていること。最近は夏は冷房、冬は暖房によって室温調節した環境で過ごす人が多い。汗には、体外に熱を放出し、体温を一定に保つはたらきがあるが、年間を通してその必要がなくなっているため、体の温度調節機能そのものがはたらかなくなっているのだ。

もともと日本人はよく汗をかく民族だった。というのも、汗の量は「能動汗腺」という汗腺の数によって決まるからだ。人間の汗腺数は同じだが、この能動汗腺数は民族によって差がある。例えば、ロシア人は少ないが、インドネシア人では多い。高温多湿の環境に暮らす日本人もまた、たくさんの能動汗腺を持っているというわけだ。

それにもかかわらず、最近、私たちの汗の量が減っているのは、生活環境が変化しているから。能動汗腺数は生後3年までに決まるとされるが、汗をかかない生活をしていると、数は増えず、汗をかきにくくなってしまう。さらに長年、汗をかかずにいると、能動汗腺の機能低下が起こるのだ。

人間の汗腺数は同じだが、この能動汗腺数は民族によって差がある

におう悪い汗

汗の量が減ると、体温調節機能が壊れるばかりではない。ホルモンバランスが崩れ、免疫力も低下してしまう。自立神経失調症に発展し、「起立性調節障害」に発展することも。起立性調節障害とは、血管の機能不全から、めまいや立ちくらみなどが起こる病気のこと。

また、能動汗腺の機能低下が起こっている場合、たまに汗をかくと、水分とともにミネラル分まで一緒に排出されてしまう。健康な汗腺はミネラル分を再吸収して血液中に戻すことができるが、弱った汗腺にはそれができない。その結果、ミネラル分を含みベタベタした汗をかくことになるのだ。しかも、ミネラル分が失われることにより、体の生理機能が狂い、体を重く感じる、疲れが残るなどの体調不良が起こりやすくなる。

におわない良い汗

日ごろしっかり汗をかいている人は、汗腺が水分のみを排出し、さらさらとした汗を流すことができる。ニオイやベタつきも少なく、不快感を伴わないのが特徴だ。上手に汗をかけば、このほかさまざまな健康効果が期待できるだろう。

●疲労物質を押し流す!

筋肉が疲労するとできる乳酸や二酸化炭素。汗はこれらを体外へ押し流し、疲労回復に一役買っている。

●自律神経がバランスを保つ

汗をかかない生活を長く続けると、自律神経が正常に機能しなくなってしまう。ストレスがたまり、心身に悪影響を与えることも。

●汗をかいてカロリー消費

汗は蒸発する時に体から気化熱を奪い、カロリーを消費してくれる。したがって肥満の解消にもGood!

●肌の保護

汗の水分と一緒に分泌される皮脂が、肌の乾燥を防ぎ、肌の潤いを守る。新陳代謝も促されるため、汗は美肌づくりにも欠かせない。

エアコンに頼って体を甘やかしてばかりいると、「良い汗」はかけない。冷え切ったオフィスで仕事に追われ、冷や汗をかいているあなた!冷房の温度設定はほどほどにして、健康的な汗を流すよう心がけてはどうだろうか。

公開日:2005年7月19日