毎年、春は「確定申告」のシーズンです。会社員は関係がないと思われがちですが、実は会社員でも確定申告することによって、支払った医療費の一部が戻ってくるかもしれません。年間の医療費が家族で10万円を超すと利用できる従来の医療費控除のほかに、スイッチOTC医薬品の購入金額が1万2千円を超すと利用できるセルフメディケーション税制もあります。
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確定申告とは、前年1年間の所得額を申告して、納税額をあきらかにする手続きのことで、期間は例年2月16日~3月15日です。最寄りの税務署の窓口や郵送で申請書を提出する方法のほかに、インターネット(e-Tax)などで申告することもできます。給与所得を得ている人は一般的に、勤務先で年末調整が行われるため、副業や一定額以上の年収がある場合などを除き、確定申告をする必要はありません。ただし、医療費控除、住宅ローン控除などは年末調整では処理されないので、控除を受けるには自分で確定申告をする必要があります。確定申告をして、個人的な事情による出費金額を所得金額から差し引く「所得控除」が適用されると、払いすぎた税金が戻ってきます。
生計を同じくする家族の医療費が、前年1年間で合計10万円を超えると、従来の医療費控除を受けられます。同居をしていなくとも、仕送りなどをしている場合は、生計を同じくしている家族と見なすことができます。
医療費が合計10万円に満たない場合も、健康診断を受けているなどの条件を満たし、スイッチOTC医薬品の購入金額が家族で合計1万2千円を超えると、所得控除を受けられる「セルフメディケーション税制」が利用できます。スイッチOTC医薬品とは、以前は処方薬だったものが、現在は市販薬として購入できるようになった医薬品です。パッケージに、セルフメディケーション税制の対象であると示すマークが付いている医薬品もあります。従来の医療費控除とセルフメディケーション税制を同時に利用することはできないので、申請者自身がどちらかを選ぶことになります。
控除される還付金額は、スイッチOTC医薬品の購入金額や所得により異なりますが、上限は8万8千円です。セルフメディケーション税制について、詳しくは厚生労働省のホームページなどで確認しましょう。
合計10万円を超す場合に利用できる従来の医療費控除の場合、医療費には薬局で買った薬代や通院費のほかに、歯科でかかった入れ歯代や、重大な病気が見つかった場合などは人間ドック代なども対象となります。特にまとまった金額となるのは、妊娠・出産に伴う費用でしょう。分娩費はもちろん、検診代、検査代、通院費なども医療費となるので、計算の際には忘れないようにしましょう。
以下のような人が家族にいる場合は、医療費の合計が10万円を超え、従来の医療費控除を受けられる可能性が高いと考えられます。該当するかチェックしてみましょう。
控除金額=年間支払い医療費-保険金や分娩手当などで補てんされる金額-10万円(所得金額200万円以下の場合は所得金額の5%)
医療費の控除を受けられるせっかくの制度を利用できるように、レシートを保管したり、医療に関する記録をとるように心がけたりして、日頃から翌年の申告に備えましょう。