疾患・特集

唇のSOS!正しいケアのしかた

冬は唇が乾燥しがちな季節。「バリバリに乾いて口紅がひけない!」「皮がむけて血がにじむ」といった悩みを抱える人も多いのではないだろうか。そこで、今回は乾燥をしっかり防ぎ、健康的な唇を保つコツをご紹介しよう。

唇がデリケートなワケ

「顔や体の皮膚はさほど乾燥していないのに、なぜ、唇だけが乾いてしまうのだろう…」。そんな素朴な疑問を抱いたことはないだろうか。これは、皮膚と唇の構造の違いによるもの。皮膚は、厚い角質層に守られているだけでなく、皮脂腺から出る皮脂によって覆われている。膜状になった皮脂は、皮膚中の水分の蒸発を防いでくれるため、潤いが保たれるというわけだ。

ところが、唇の角質層は極めて薄い。さらに、細胞間脂質や天然保湿因子も少ない。ちなみに細胞間脂質とは、角質細胞と角質細胞の間にある脂質。セラミドやコレステロール、脂肪酸でできているが、親水性があり、水とも結びつきやすい。また、天然保湿因子は、皮膚角質細胞の中にある物質だ。水分を保持する性質があるため、クリーム、化粧水、石けん、シャンプーなどに幅広く使われている。

つまり唇には、もともと潤いを保つ機能が欠けているのである。おまけに、皮脂腺や汗腺もないため、皮脂膜を作ることもできない。唇が乾燥に対して非常にデリケートなのもうなずける。

こんなに多かった!私たちの周りにある唇の敵

私たちの周りには、唇の天敵ともいえる、化学的な刺激がたくさんある。例えば、紫外線。唇はメラニンがないため、最もストレートに影響を受けやすい場所といえる。強烈な紫外線にさらされると、乾燥も進んでしまう。また、口紅などの化粧品が、唇にダメージを与えることもある。人によっては、食べ物から刺激を受け、唇が荒れてしまうケースもあるだろう。

物理的な刺激も荒れの要因だ。乾燥が気になるから、となめたりすると、ますます症状は進んでしまう。頻繁に手で触るのもご法度。喫煙もよくない。さらに、体調不良や栄養のアンバランスも唇が荒れる原因となることがある。とくに、ビタミンB2が不足すると乾燥が悪化する。

唇が荒れる原因

こうした悪条件が揃っているうえに、暖房で部屋が乾燥していたりすれば、さらに追い討ちをかけるように「ひび割れる」「皮がむける」「血がにじむ」といった悲惨的な状態を招いてしまうのだ。

万全な予防策で健康的な唇を

それでは、唇の健康を保つためにはどうしたらよいのだろうか。最も即効力のある方法は、リップクリームをできるだけ頻繁に使うこと。実は、唇は「ターンオーバー」、すなわち、再生のスピードが皮膚よりずっと速いのだ。つまり、まめにケアすればするほど、潤いのある健全な状態を保つことができるというわけ。

万全な予防策

かさつきが気になる程度なら、薬用タイプ(医薬部外品)や日常用のリップクリームを。この際、ホホバオイルや、天然保湿因子、ビタミンが配合されているものなどを選ぶとよいだろう。また、かゆみやひび割れ、ただれ、口唇炎、口角炎、ブツブツ、皮ムケといった、症状がひどい場合は医薬品のリップクリームを使うべき。ただし、治ったあとも医薬品タイプを使い続けるのは禁物。悪化が進んだ場合は早めに皮膚科を受診しよう。

このほか、こんな予防法も日ごろから実践しておくとよいだろう。

加湿器を使う

部屋が暖房で乾燥しないよう、こまめに加湿器を使おう。

ビタミンB2が豊富な食品を食べよう

ビタミンB2は目、皮膚、口の中の粘膜を正常に保つはたらきをする。不足すると唇の両端がただれたり、唇が荒れたりすることも。

ビタミンB2を多く含む食品:
レバー・うなぎ・納豆・卵・ブロッコリー・ホウレンソウなど

公開日:2004年12月27日