大掃除の強力な味方として、注目を集めている重曹。アメリカにルーツを持ち、今や消臭から歯磨き粉、薬にまでその活用方法が広がっている。ぜひ地球にもやさしい重曹を活用しよう!
ここ2~3年、大掃除の強力な味方として、重曹が注目を集めている。重曹といえば、おせちの黒豆やお菓子の膨らし粉など、料理の材料というイメージが強い。しかし、アメリカでは、肌が弱い人でも安心して使え、環境にも優しいことから、料理はもちろん掃除や臭い取り、ガーデニングの助っ人として、また歯磨き粉の材料や薬として、さまざまな場面で活用されている。
こういったさまざまな使い道がマスコミを通じて盛んに紹介されると、環境問題や健康に関心が高い主婦たちを中心に、食器や洗濯、住まいの洗剤としての人気が急速に高まった。しかも、使ってみると、その洗浄効果は通常の洗剤に勝るとも劣らない。その結果、数年前まで薬局やスーパーに小さな箱でひっそりと並んでいるだけだった重曹が、最近では洗剤売り場にも堂々と並ぶ商品になったのである。
重曹発見のきっかけは、アメリカに入植した人たちが石鹸やガラス製造業の材料として、木を燃やしてできた灰汁から抽出した真珠灰(炭酸カリウム)を活用したことである。18世紀後半以降、この真珠灰を人々はまたパンの膨らし粉として使うようになる。19世紀には研究が進み、炭酸カリウムより膨らし粉としての効果が高い重炭酸ナトリウム(重曹)を、化学的に精製して安価に大量生産するようになる。
ちなみにヨーロッパでは、胃酸過多を抑える医薬品として開発されている。現在では、食用のほか、飼料、歯磨き粉などさまざまな産業用の使い道が発達しているが、アメリカの企業が事業を広げるために開発したものも多い。一方で、アメリカの主婦たちも、家庭内でのさまざまな重曹の使い道について情報交換を行ってきたが、環境への意識が高まってきたこの20年間はさらに大勢の人を巻き込み、使い道の幅を広げている。いわば、アメリカが驚くほど活用の幅が広い重曹の生みの親であり育ての親だったというわけである。
重曹は、炭酸水素ナトリウム、重炭酸ソーダなどとも呼ばれる安全性の高い化学物質だ。温泉や湖底に沈んだミネラル分に含まれ、天然資源としても豊富だ。pH8.5とナトリウム化合物の中では最もアルカリ性が弱く、水に流してもpHの排出基準を超えない。湿った空気中や高温下などで徐々に分解されると、炭酸ガスを放出する。さまざまな用途が発見され活躍している裏には、もちろん科学的裏づけがある。
効果 | メカニズム | 使い方 |
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洗浄 | 台所など住まいの汚れの多くは、油や脂肪酸を含んだ酸性。アルカリ性の重曹は、その汚れを中和してきれいにする。 |
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研磨 | たいていの汚れより固くプラスチックより柔らかい重曹は、鍋やガラスなどを傷つけずにこびりついた汚れを落とす。ただしアルミ製の鍋は黒ずんでしまうので使用しないこと。 | |
消臭 | 食品の腐敗臭や生ゴミ、油の臭いは酸性なので、重曹を振りかければ中和できる。また、ペットや靴、たばこなどさまざまな臭い消しに効果あり。 |
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胃もたれに血液中のpHバランスを保つ重曹は、軽い胃酸過多や胸焼けで酸性に傾いた胃の中のものを中和する。調子が悪いときは、水120ccに重曹小さじ1/2を溶かして飲むとよい。ただし、塩分の食事制限をしている人は医師に相談してからにしよう。もちろん、胃潰瘍や胃痛など症状が重い場合は、病院に行くことをおすすめする。
重曹の中和作用、研磨作用は歯磨き粉としてもパワーを発揮する。歯垢による酸を中和して腐食を抑えるため、歯石がたまりにくく口臭を防ぎ、歯が磨耗しにくい。重曹をそのまま歯ブラシにつけて磨くだけでもよいが、しょっぱくなる点に注意。口臭が気になる人は、水1/2カップに重層小さじ1を溶かしてうがいするとよい。
精製水1カップに重曹小さじ1/8弱を溶かし、消毒した点眼容器に入れればできあがり。ただし1回で使い切ること。
お湯1/2カップに重曹小さじ1を溶かし、口をすすぐと、バクテリアを中和し痛みが和らぐ。
水1カップに重曹大さじ1を溶かして、髭剃りの前後に顔を洗うと、かみそり負けの痛みを和らげる。足のむだ毛そりで洗う水としてもおすすめ。