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人生変わる!?歯のホワイトニングにご注目

より若々しく美しく見えるために、歯のホワイトニングが注目されている。笑顔に自信がつき、仕事にも積極的になるなど、その効果は意外とあなどれない。虫歯・歯周病予防には歯のクリーニングがおすすめだ。

いま注目のホワイトニングって何?

ホワイトニング

爽やかに笑う青年の口からのぞく、真っ白な歯。容姿をより美しく若々しく見せる白い歯を保つことは、アメリカ、カナダなどではエチケットとして定着している。日本でも、歯磨き粉のCMなどの宣伝効果もあってか、ここ10年ほどで、芸能人やモデルはもちろん、営業職で働く人たちなど、歯をより白くしたいと考える人が増えてきた。
しかし、残念ながら日々の歯磨きだけで真っ白な歯を保つことは難しい。そこで最近人気が高いのが、歯の表面に薬剤を塗布して、実際の色より歯を白くみせるホワイトニングである。もちろん健康に悪影響はない。

ホワイトニングは、まずメンタル面での健康効果が大きい。白く輝く歯は、その人を若々しく見せ、躍動感を感じさせるからだ。会う人の印象を良くするだけでなく、本人にも自信がつく。

今回、取材に協力してくれたホワイトエッセンスの岡本真理子院長によれば、ホワイトニングを希望する人には、営業や接客の人、就職活動、結婚式前のカップルなどが多いという。全体で見ると20~30代の働く女性が中心だが、「若返るから」と喜ぶ年輩の人などさまざまな年代、性別の人がホワイトニングを受けている。中には笑顔に自信が持てるようになって就職が決まった、仕事がうまくいったという人までいるそうだから、その効果はあなどれない。

歯が変色する3つの原因

(1)歯の表面の汚れ

着色しやすい食品

最も多いのが、食品の色素が浸透して変色する場合。歯のエナメル質は、何百万本という半透明のガラス繊維のような小柱からできている。その小柱と小柱の隙間に残った色素は、歯磨きで取り除くことができない。例えば、コップや茶碗が、毎日洗っていてもたまに漂白が必要になるのと同じことである。むしろ、陶器より歯のほうが色素は残りやすい。また、たばこのヤニも着色の原因となる。
もちろん、毎日丁寧に時間をかけて歯磨きをしたり、着色しやすい食品を摂った後、すぐに歯磨きするなど心がければある程度落とすことができる。プロのクリーニングを受けるだけで落とせることも少なくない。

着色しやすい食品:赤ワイン、しょう油、コーヒー、紅茶、コーラ、カレーなど

(2)加齢・遺伝

歯の構造

髪や肌の色が人それぞれ異なるように、歯の色にも個人差がある。遺伝的に黄色っぽい人もいる。また、歯の内部にあり神経を守る「象牙質」は、もともと黄色がかっており、年齢と共にじょじょにその色が濃くなっていくため、透明なエナメル質を通してだんだん黄色が目立つようになるのである。この場合は予防が難しいため、黄色が気になる人は、ホワイトニングをするというわけだ。

(3)歯の内部構造が原因

歯の病気や、歯をぶつけて外傷ができたり、薬剤の副作用が原因で変色する場合。これが原因の場合は、残念ながらホワイトニングでも白くするには限界がある。
例えば、70年代に使われていたテトラサイクリンという抗生物質を、母親の妊娠中や幼少期に服用していた場合、歯が縞模様に着色したり、茶色やグレーがかった色になっていることがある。テトラサイクリンはその後使われなくなったため、このケースは30代の人がほとんどである。また、歯の成長過程で、歯の組織形成が不十分だった「エナメル質形成不全症」の場合、歯が茶色く変色していたり、くぼんだ部分があったりする。

ホワイトニングのメカニズム

では、ホワイトニングは実際どのようにして行うのだろうか?ホワイトニングに使われる薬剤は、過酸化水素や過酸化尿素。これらの薬剤は、一定温度になると酸素と水に分解される。その際、酸素が歯のエナメル質の色素と結びつき、着色物を無色透明に分解するというしくみだ。

ただし、象牙質の色は変化しないため、象牙質が変色していれば見た目の印象はホワイトニングをする前と変わらない。その場合は、光の反射でエナメル質が白く見えるように加工する方法がある。ホワイトエッセンスの場合、エナメル質を構成する無数のエナメル小柱の形を角状から球状に変化させることで、光が乱反射するようにする。すると、曇りガラスと同じように透明だったエナメル質が白く見える。その結果、象牙質の黄色が見えにくくなるというわけだ。

ホワイトニングのメカニズム

施術の方法

「ホワイトニングを行う歯科医院に通院する」「自分の歯に合わせた専用トレイを作ってもらい、自宅で薬剤を入れたトレイを2時間ほどかぶせる」の2通りがある。個人差はあるが、通院の場合、3ヵ月程度で完了という人が多いという。また、ホワイトニングで永久治療ができるわけではないため、だいたい3~10ヵ月で元の色に戻る。白さを保ちたい人は月に1度の通院をするケースが多いという。

ホワイトニングが向かない人

  • 妊娠中、授乳中の女性
  • 18歳未満の人
  • エナメル質形成不全症の人
  • 人工歯の人
  • 虫歯や歯周病がある人は治療後に

真剣に歯の健康を考えるなら

ホワイトニングの効果は、白く見せることで自信がつく、若返るといった美容効果である。しかし、歯を白くするだけでなく、虫歯や歯周病予防効果が欲しいという人におすすめなのは、歯のクリーニング。

食品やたばこのヤニなどが原因の表面の変色を、1回のクリーニングできれいに落とせるだけでなく、虫歯や歯周病の原因となる細菌を除去できるからだ。細菌が元の量に戻るまで3ヵ月が目安なので、3ヵ月ごとにクリーニングを受ければ虫歯や歯周病予防にもなるというわけだ。ただし、クリーニングは、保険がきかないのが難点。歯石を取った後、歯の表面の汚れを除去したり、歯茎をマッサージするという予防的な施術を行うからだ。

ティースクリーニングの方法

塩のジェットパウダーで表面の汚れを除去→歯石とり→専用の薬剤で歯磨きでも取れない汚れ・虫歯菌を除去

自分の笑顔に自信がない人、歯を健康に保ちたいという人は、ぜひ一度近くのクリニックを訪れてみてはいかがだろう。毎朝、鏡の中の歯の白い自分に会うのが楽しみになるかもしれない。

取材協力・資料提供:ホワイトエッセンス

公開日:2016年10月3日