疾患・特集

点検してみよう!ちょっと気になるほくろといぼ

ほくろやいぼなどまったく無縁――という人はおそらくいないだろう。誰でもひとつやふたつ、体のどこかにできた経験を持っているはず。とはいえ、見た目や場所で気になるものがあれば、「放っておいても大丈夫?」「がんに発展することはないの?」などと心配になることもあるのでは…。ぜひ正しい知識を持って、自分の体を点検してみよう!

「ほくろ」とは?

ほくろ美人

「ほくろ美人」という言葉があるように、ほくろもひとつの個性美。ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人のほくろが魅力的だったため、貴婦人たちの間で付けほくろが大流行したという逸話もある。

ほくろとはそもそも、「母斑細胞」という細胞が寄り集まったもの。これが増加すると、じょじょに皮膚から盛り上がっていき、ほくろとなる。大きく分けて種類は3つ。「先天的にできたもの」「3、4歳ごろからできたもの」「大人になってから紫外線によってできたもの」だ。

良性のほくろは放置しておいても、とくに問題はない。美容上、気になる場合は、皮膚科で切除してもらったり、レーザー治療してもらうとよいだろう。問題は、ほくろのがんの場合だ。

ほくろのがんに要注意!

メラノーマ

メラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚がんの一種。日本では、年間約1,500~2,000人ほどが発症しているといわれる。非常に悪性なうえ、年々増加傾向にある病気だ。「ただのほくろだと思っていたら、メラノーマだった」という可能性もあるので、以下のような場合は一度専門医を受診しよう!

こんなほくろをチェック!

メラノーマ

  • □ 足の裏や手のひら、手足の爪に茶色や黒のしみがある
  • □ 黒いしこり状のほくろが、どんどん大きくなってきた
  • □ 体や腕や足にある茶色のほくろが、ゆっくりと大きくなりつつある
  • □ 顔にあった不整形で濃淡のついたしみが、だんだん広がってきた

大きくなったり、しこりができたりしたら要警戒!

有きょく細胞がん

手や顔のしみのほか、やけどやケガの跡にできることが多い。皮膚がざらざらして固くなるのが特徴。悪化すると、潰瘍状になることも。見つけたら早めに切除手術しよう。

こんなほくろをチェック!

  • □ 目や鼻の周りの黒いほくろ
  • □ 硬いしこりがあり、よく見るとくぼみや濃淡がある

基底細胞がん

日本人に多い皮膚がん。とくに高齢者で多く見られる。目や鼻の周辺など、顔にできる。徹底的に切除しないと、広がりやすいので厄介。

こんなほくろをチェック!

基底細胞がん

  • □ 目や鼻の周りの黒いほくろ
  • □ 硬いしこりがあり、よく見るとくぼみや濃淡がある

「いぼ」とは?

気にしだすとつい憂鬱になってしまうのが、いぼ。「いぼ取り地蔵」が、全国各地に残っているのを見てもわかるとおり、昔から厄介な皮膚病とされてきた。だが、あくまで良性の腫瘍なので、あまり怖がる必要はないのも事実。しかし、なかにはウイルス性のものもあるので、無理して自己処置するとかえって悪化を招くことも!

いぼの種類と治療法を知ろう

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

老人性のいぼで、加齢とともに顔や体にできる。ざらざらしているのが特徴。美容面から気になる場合はレーザー、電気メス、液体窒素などで治療する。ただし、形状のよく似た皮膚がんの場合があるので、大きくなってきたら一応、検査を!

青年性偏平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)

ウィルス性。顔や手の甲などに、小さなしみに似た突起がたくさんできる。若い女性などに多い。治療法としては、液体窒素によって患部を凍らせる「凍結療法」が主流だ。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

ウイルスによるもので、手足の指やひじ、ひざ、足の裏などにできる。最初は小さな丘疹程度だが、やがて大きくなっていぼ状に。凍結療法、抗がん剤のブレオマイシン、局所注射などで治療する。

伝染性軟属腫(水いぼ)

小さな子どもによく見られる。伝染性軟属腫ウイルスによるもので、ほかのいぼに比べ、他人に伝染しやすい。かゆみをともなうのでかきたくなるが、爪でひっかくとつぶれて他の部位に広がるので注意。時間が経つと治ってしまうことが多いといわれる。

ほくろもいぼも、正体さえわかっていれば怖くない!皮膚の健康のためには、気にし過ぎないことも大切だ。

公開日:2004年6月7日