砂糖をたっぷり使ったお菓子は体に良くないというイメージがないだろうか?しかし、和菓子は目に楽しいばかりか、材料もヘルシーな食品ばかり。とくに小豆の健康パワーには注目。
5月5日は言わずと知れた子どもの日。「端午の節句」ともいい、この日を間近に控えた今の時期は、スーパーにも柏餅やちまきが並ぶ。ちまきのルーツは、紀元前3世紀の中国にまでさかのぼり、日本には平安時代に伝わったといわれている。
一方、柏餅のルーツはいくつか説があるが、江戸時代の中期に誕生したという説が有力だ。柏の葉は新芽が出るまで落ちないことから、男子の成長と子孫繁栄を願って、武家の間で縁起を担いで珍重されたという。この頃は、家で作った柏餅を近所や親戚に配っていたらしい。ちなみに、柏餅の「もち」部分はうるち米で作っているので、本来は「だんご」と呼ぶのが正しい。「もち」と呼ぶのは、武士の見栄という説もあるそうだ。
若い女性ならスタイル重視、中高年男性は生活習慣病が気になるという点から、砂糖をたっぷり使ったお菓子は体に良くないというイメージが強くなってしまった今日この頃。でも実は、糖分は体を動かすうえで重要なエネルギー源。
とくに脳は糖分(ブドウ糖)しかエネルギー源として使うことができないため、1日中デスクワークに追われるなど脳がフル回転をした後は、ぜひ摂りたい栄養分である。ほどほどに食べるなら決して健康を害するものではないのだ。
なかでも和菓子は、ケーキやクッキーなどの洋菓子に比べると、油を使わない分ローカロリーで食物繊維も豊富。結構ヘルシーなのである。
出典:五訂食品成分表
和菓子がヘルシーなのは、その材料にも秘密がある。だんごやういろうによく使われる上新粉は、うるち米を製粉したもの。白玉だんごやぎゅうひの材料となる白玉粉は、もち米を製粉したものだ。また、かるかんには上新粉と大和芋が使われている。
このように、砂糖のほかに和菓子でよく使われるのは、もち粉や米粉、小麦粉、豆類などの穀物、イモ類やゴマ、寒天など、健康的な食品ばかり。
米は完全栄養食品といわれるほど栄養バランスが優れているし、きな粉の材料である大豆は、最近女性ホルモンとはたらきが似ていることで注目を集めるイソフラボンが含まれる。ゴマは美容によいといわれるビタミンEやミネラルが、寒天は生活習慣病予防にぴったりの食物繊維が豊富なことで知られる。
そして、なんといっても注目すべきは、和菓子の主材料でありかつ栄養バランスに優れた小豆だろう。
ほどよい量の和菓子は、ヘルシーというだけではない。和菓子の魅力はなんといっても、季節感を味わえることだ。
冒頭に挙げた端午の節句の柏餅はもちろん、花見の季節の桜餅や花見団子、6月くらいになればくずもちや水ようかんが並ぶ。春分、秋分はぼたもちにおはぎ。「菜の花」や「紫陽花」など花をかたどったお菓子もあれば、鮮やかな紅葉をイメージした「もみじきんとん」など、シンプルながら自然をイメージさせるデザイン性に優れた和菓子もある。
日ごろビル街で忙しさに追われている人も、たまには、和菓子をお皿にのせて目で楽しみながら、お茶の時間を過ごしてみてはどうだろう。気持ちがほっとほぐれてリラックスできるかもしれない。