暑い季節、どうしても食欲が落ちてしまうもの。でも「そば」だったら?最近は健康食品としても注目を浴びているそば。栄養面からも夏に「そば」は大正解!そばは体によいというイメージがあるが、実際にはどのような健康効果があるのだろうか。実は、ビタミンBが豊富、食物繊維が多い、低カロリーなど、体に嬉しいことがいっぱいあるのだ。
ずるずるっと豪快に音をたてて食べると、なんともおいしく、涼感ただよう不思議な食べ物。暑い夏、そばで栄養が摂れるなら、なんともうれしい味方になりそうだ。ところで、そばは低カロリーでヘルシーなイメージがあるため、体にはよさそうだが、「疲労回復によい」というイメージはないだろう。しかし、ほかの穀類と比べても、そばは意外にも栄養価が高い食品なのだ。
そばにはビタミンAやビタミンCが含まれていない。その代わりに、ビタミンB1、B2が豊富に含まれている。
ビタミンB1は「疲労回復ビタミン」と呼ばれ、糖分やでんぷんなどの糖質をエネルギーに変換するのに不可欠な存在だ。そのためビタミンB1が不足すると、体力の低下、イライラや食欲不振の原因になる。
ビタミンB2には、たんぱく質や脂質、糖質などの代謝に関係する酵素を助けるはたらきがある。栄養素の代謝を助け、成長、発育を促すのがビタミンB2なのだ。皮膚や粘膜を保護し、肌・爪・髪の発育や体全体の抵抗力を強め、成長と生殖を助けるはたらきを持っている。
そばには植物性たんぱく質が多く含まれている。精白米やうどんと比較しても断然豊富だ。そして、何よりたんぱく質を構成しているアミノ酸のバランスがよい。通常、小麦などの植物性たんぱく質はアミノ酸スコアが低いと言われているが、そばは、ほかの穀類と比較してアミノ酸スコアが高い。とくに、発育に大切な必須アミノ酸である「リジン」が、そばには多く含まれている。アミノ酸が不足すると、体の疲れや体力の衰え、脂肪蓄積などを招くことになる。
そば粉 (全層紛) |
精白米 | 小麦粉(薄力) | |
---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 361 | 356 | 369 |
たんぱく質(g) | 12.0 | 6.1 | 8.8 |
脂質(g) | 3.1 | 0.9 | 2.1 |
炭水化物(g) | 69.6 | 77.1 | 74.6 |
カリウム(mg) | 410 | 88 | 150 |
マグネシウム(mg) | 190 | 23 | 30 |
リン(mg) | 400 | 94 | 90 |
鉄(mg) | 2.8 | 0.8 | 1.1 |
ビタミンE(mg) | 0.9 | 0.2 | 1.2 |
ビタミンB1(mg) | 0.46 | 0.08 | 0.24 |
ビタミンB2(mg) | 0.11 | 0.02 | 0.05 |
食物繊維(g) | 4.3 | 0.5 | 2.7 |
出典:日本食品成分表
そばが体にいいと言われる理由のひとつが、そばに含まれる「ルチン」の効果。ルチンはポリフェノールの一種であり、赤ワインやカカオ、お茶に含まれるポリフェノールと同様に、活性酸素を除去する酸化防止作用がある。ポリフェノールは、人間が日傘をさして紫外線を避けるのと同じように、植物が紫外線から身を守るためのものなのだ。さらにルチンは、毛細血管を強くしたり、血圧を下げる効果も認められている。
ただし、ルチンは水に溶けやすいので、そばのゆで汁も捨てずに利用して欲しい。また、ルチンはそばの種実の外層部分に多く含まれている。
ルチンが豊富に含まれていることで、最近、見直されつつあるのが「だったんそば(韃靼そば)」だ。日本では別名「にがそば」と言われている。独特の苦味や渋みがあり、切りそばに不向きなことから日本ではほとんど栽培されていない。
だったんそばは、主に中国やモンゴル、ネパールやブータンなどのヒマラヤ諸国で栽培されている。モンゴル系遊牧民族のだったん人が高地での貴重な栄養源として古くから栽培、常食していたことから「だったんそば」と名づけられたようだ。ルチンの量は日照量と関係しており、標高の高い地域で栽培されるだったんそばには、普通のそばよりもかなり多くのルチンが含まれている。