両膝がOの字のように外側に湾曲したO脚。実は生まれたときは誰でもO脚だが、成長するとともにほとんどの人が改善される。しかし、成長してもO脚のままだったり、膝を傷めやすい生活習慣を行っていると、高齢になってから「変形膝関節症」を引き起こすことも。膝の痛みに苦しむ前に、O脚は早めに改善しておこう。
膝痛を引き起こす膝の湾曲には、O脚とX脚がある。
正常な膝は、(A)の図のように、脚の骨がまっすぐになっているが、(B)のように、膝をまっすぐ伸ばして直立したときに両膝の間に隙間ができてしまうのがO脚である。また、(C)のように膝が内側に入り、膝下と太ももが外側に湾曲した状態をX脚と呼ぶが、日本人にはほとんどいないといわれている。
人間は生まれたときには自然にO脚となっている。3~4歳頃になると次第にX脚となり、その後成長するにしたがってまっすぐになっていく。しかし、乳幼児期に早く歩かせようとすると膝の内側の骨の発育が鈍り、O脚になったまま成長してしまう例も多い。3~4歳になってもO脚のままの場合は、整形外科で治療をし、悪化する前に改善しておこう。7歳以上になると、手術をしなければ治らない場合もある。
足裏には前後、左右の方向に立体的なアーチがつくられている。このアーチがあることで体重が支えられ、地面を蹴ったり着地するときに、衝撃を和らげることができる。長時間歩いたあとには、足の骨と骨を結ぶ靭帯が伸び、誰でも扁平足気味になるが、安静にしていれば回復する。
しかし、合わない靴を長い期間履いていたり、立ち仕事を続けているとこの靭帯が伸びて戻らなくなってしまい、足裏のアーチが消えて扁平足となり、かかとをまっすぐに支えられなくなる。その結果、次第にかかとの骨が外向きにずれてしまい、O脚を引き起こしやすくなってしまう。
特に、太っている人は靭帯に与える力も大きいため、より扁平足になりやすい傾向がある。また、生まれつき足首からかかとにかけて骨が外側に脱臼している人や、かかとの骨を骨折した人も扁平足になってしまうこともある。
足先のとがったハイヒールなどを履くことで、足の親指のつけ根が外側に曲がってしまう外反母趾。親指の関節が炎症を起こしてしまうため、ひどくなると歩くたびに痛みを感じる。
外反母趾は足裏の筋力が弱って、足の5本の指のつけ根を横に結んでいる靭帯が伸び、親指のつけ根が外側に張り出してしまった状態。痛みを避けるために、外側に重心をおいて歩くようになり、O脚・膝のゆがみを引き起こしやすくなる。
また、同じくハイヒールなどの影響で足の指先が直角に曲がってしまうハンマートゥも膝のゆがみにつながる。この状態のままでいると、足指のつけ根とかかとに負担がかかり、地面に足をついたときの衝撃をこの部分だけで受けることになる。その結果、膝にも大きな衝撃が伝わり、膝がゆがみやすくなってしまうのだ。
膝の関節の軟骨がすり減って、関節が変形することを「変形膝関節症」という。この軟骨がすり減ると、関節が変形し、膝の関節に炎症が起こって痛みを感じる。
レントゲンで見ても変化が見られないが、関節軟骨の表面に小さな傷ができている状態が前期。さらに進行し、レントゲンで関節の骨と骨の隙間が狭くなっていることを確認できるころを初期と言う。この時期には、激しい痛みを感じることはほとんどないため、病気の進行に気づかない人が多い。
この段階では、痛みを感じても湿布を貼ったり、安静にすることにより、数日で回復する。また、筋力トレーニングなどの運動療法を行うことで、進行を食い止めることができる。
中期このころになると、膝の軟骨が磨耗してしまう。そのため膝に痛みを感じ、熱をもったり、腫れたりする。また、もともとまっすぐな膝の人でも、この段階では内側の軟骨がすり減ってO脚に変形してしまう。
中期には、膝の痛みを訴えて受診する人が多くなる。日常生活の動作も苦痛になるほど痛みが強くなることがあるが、運動療法によって改善していく。
さらに症状が進むと、軟骨がほとんどなくなるまですり減ってしまい、骨と骨が接するようになる。こうなると、負担を少なくするために大腿骨と軟骨にトゲや土手のようなものがつくられて変形してしまう。日常の動作をすることも困難になり、次第に外出するのがおっくうになる。