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その膝痛、原因はO脚のせいかも!?O脚・膝のゆがみはこうして起こる

両膝がOの字のように外側に湾曲したO脚。実は生まれたときは誰でもO脚だが、成長するとともにほとんどの人が改善される。しかし、成長してもO脚のままだったり、膝を傷めやすい生活習慣を行っていると、高齢になってから「変形膝関節症」を引き起こすことも。膝の痛みに苦しむ前に、O脚は早めに改善しておこう。

3~4歳まではほとんどがO脚

膝痛を引き起こす膝の湾曲には、O脚とX脚がある。

  • (A)正常な膝の状態。関節がまっすぐになっている
  • (B)関節の軟骨の内側がすり減り、O脚になっている
  • (C)関節の軟骨の外側がすり減り、X脚になっている

正常、O脚、X脚

正常な膝は、(A)の図のように、脚の骨がまっすぐになっているが、(B)のように、膝をまっすぐ伸ばして直立したときに両膝の間に隙間ができてしまうのがO脚である。また、(C)のように膝が内側に入り、膝下と太ももが外側に湾曲した状態をX脚と呼ぶが、日本人にはほとんどいないといわれている。

人間は生まれたときには自然にO脚となっている。3~4歳頃になると次第にX脚となり、その後成長するにしたがってまっすぐになっていく。しかし、乳幼児期に早く歩かせようとすると膝の内側の骨の発育が鈍り、O脚になったまま成長してしまう例も多い。3~4歳になってもO脚のままの場合は、整形外科で治療をし、悪化する前に改善しておこう。7歳以上になると、手術をしなければ治らない場合もある。

扁平足や外反母趾もO脚・膝のゆがみにつながりやすい

扁平足はこうして起こる

扁平足

足裏には前後、左右の方向に立体的なアーチがつくられている。このアーチがあることで体重が支えられ、地面を蹴ったり着地するときに、衝撃を和らげることができる。長時間歩いたあとには、足の骨と骨を結ぶ靭帯が伸び、誰でも扁平足気味になるが、安静にしていれば回復する。
しかし、合わない靴を長い期間履いていたり、立ち仕事を続けているとこの靭帯が伸びて戻らなくなってしまい、足裏のアーチが消えて扁平足となり、かかとをまっすぐに支えられなくなる。その結果、次第にかかとの骨が外向きにずれてしまい、O脚を引き起こしやすくなってしまう
特に、太っている人は靭帯に与える力も大きいため、より扁平足になりやすい傾向がある。また、生まれつき足首からかかとにかけて骨が外側に脱臼している人や、かかとの骨を骨折した人も扁平足になってしまうこともある。

外反母趾・ハンマートゥはこうして起こる

外反母趾

足先のとがったハイヒールなどを履くことで、足の親指のつけ根が外側に曲がってしまう外反母趾。親指の関節が炎症を起こしてしまうため、ひどくなると歩くたびに痛みを感じる。
外反母趾は足裏の筋力が弱って、足の5本の指のつけ根を横に結んでいる靭帯が伸び、親指のつけ根が外側に張り出してしまった状態。痛みを避けるために、外側に重心をおいて歩くようになり、O脚・膝のゆがみを引き起こしやすくなる。

ハンマートゥ

また、同じくハイヒールなどの影響で足の指先が直角に曲がってしまうハンマートゥも膝のゆがみにつながる。この状態のままでいると、足指のつけ根とかかとに負担がかかり、地面に足をついたときの衝撃をこの部分だけで受けることになる。その結果、膝にも大きな衝撃が伝わり、膝がゆがみやすくなってしまうのだ。

O脚や膝のゆがみを放っておくと「変形膝関節症」になることも

膝の関節の軟骨がすり減って、関節が変形することを「変形膝関節症」という。この軟骨がすり減ると、関節が変形し、膝の関節に炎症が起こって痛みを感じる。

変形膝関節症の前期・初期

前期・初期

レントゲンで見ても変化が見られないが、関節軟骨の表面に小さな傷ができている状態が前期。さらに進行し、レントゲンで関節の骨と骨の隙間が狭くなっていることを確認できるころを初期と言う。この時期には、激しい痛みを感じることはほとんどないため、病気の進行に気づかない人が多い

主な症状

  • ●前期では、起きたときや歩き始めたときに、膝が重く、鈍痛を感じることがあるが、しばらくすると消える。
  • ●初期には、正座や階段の昇り降り、しゃがむ姿勢をするときなどでも、前期と同様な違和感や鈍い痛みを感じるようになる。痛みは日を重ねるうちにだんだん強くなり、長引くようになる。
  • ●膝をまっすぐに伸ばしきれない、完全に曲げきれない症状が起こる。
  • ●関節の組織や太ももの筋肉の柔軟性がなくなり、可動域が狭くなる。その結果、歩幅が狭くなり、膝を曲げて歩くことが多くなる。

この段階では、痛みを感じても湿布を貼ったり、安静にすることにより、数日で回復する。また、筋力トレーニングなどの運動療法を行うことで、進行を食い止めることができる。

変形膝関節症の中期

中期

中期このころになると、膝の軟骨が磨耗してしまう。そのため膝に痛みを感じ、熱をもったり、腫れたりする。また、もともとまっすぐな膝の人でも、この段階では内側の軟骨がすり減ってO脚に変形してしまう。

主な症状

  • ●初期のときに感じていた痛みは強くなり、正座やしゃがむ動作ができなくなる。階段の昇り降りのときはさらに痛みが激しく、特に降りるときのほうが痛みが強い。
  • ●膝が炎症を起こし、特に膝の内側から前側にかけて熱や腫れを感じる。関節液の分泌が促進されて膝に水がたまると、膝が重く、だるく感じられる。
  • ●関節を包む「関節包」が引っ張られて痛みを感じるため、膝をまっすぐに伸ばすことができなくなる。
  • ●軟骨が磨耗しているため摩擦が大きくなり、膝を動かしたときにガリガリ、ギシギシと音がする。

中期には、膝の痛みを訴えて受診する人が多くなる。日常生活の動作も苦痛になるほど痛みが強くなることがあるが、運動療法によって改善していく。

変形膝関節症の末期

末期

さらに症状が進むと、軟骨がほとんどなくなるまですり減ってしまい、骨と骨が接するようになる。こうなると、負担を少なくするために大腿骨と軟骨にトゲや土手のようなものがつくられて変形してしまう。日常の動作をすることも困難になり、次第に外出するのがおっくうになる。

主な症状

  • ●膝が完全に変形してしまい、歩くだけで膝が痛むようになる。スポーツや旅行などに限らず、買い物や散歩などの日常生活の動きも苦痛になる。
  • ●しだいに家に引きこもりがちになり、気持ちがふさぎ、なかにはうつ状態になる人も。
  • ●運動が制限されることやうつ状態が長く続くことで、認知症につながることもある。
公開日:2003年4月14日