お餅は少量で充分なカロリーを補給できる食品です。スポーツ選手が競技前に食べたりするのはこのため。お餅もご飯も、ともに米から作られますが、でんぷんの性質には大きな違いがあるようです。もち米を使ったアジアンスイーツのレシピも紹介します。
ご飯もお餅も、でんぷん質を多く含む穀物は重要なカロリー源であり、人間の食物として欠かせない基本的栄養素でもある。
お餅100gが235kcalなのに対してご飯100gは168kcal(可食部100g当たり。出典:「2002新食品成分表Foods」一橋出版)。つまり、お餅は少量効率のよいエネルギー補給食品といえる。マラソンやサッカーなど、持久力の必要なスポーツ選手が試合前によくお餅を食べるのもこのためだ。
また、意外にもご飯に比べてお餅は消化がいい。というのも餅は十分にもち米を蒸し、その上さらにつき上げるため、ご飯に比べて密度がたいへん高くなっている。それを再び煮たり、焼いたりして食べるので、消化がよいのだ。
少量で高カロリーが補え、その上消化もいいとくれば、ついつい食べ過ぎてあっという間にカロリーオーバーになってしまいそうだ。お餅と上手につきあうには、運動前や、食欲のないとき、胃が疲れているとき、時間がないときなどに適量を心がけて食べるようにしよう。
餅はもち米から、ご飯はうるち米から作られる。もち米もうるち米もともにでんぷんが主成分で7割以上を占め、ほかに水、たんぱく質、脂質、灰分などによって構成されている。ただし、このでんぷんの性質はもち米とうるち米では大きく違っている。うるち米のでんぷんには直鎖状のアミロースが20%前後含まれ、残りが分枝状のアミロペクチンから成り立っているのに対し、もち米のでんぷんはアミロペクチンだけでできている。この構造上の違いが、うるち米は炊き、もち米は蒸す方が適しているという両者の特徴を決定付けているのだ。
もち | もち米を蒸してから、十分に粘るまでついたもの。 |
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赤飯 | もち米に小豆かささげを加え、豆汁で着色し、蒸したもの。 |
白玉粉 | もち米をよく水にさらして、挽いたあとに乾燥させたもの。水でこねて耳たぶくらいの固さにし、ゆでて用いる。白玉団子、ぎゅうひ、うぐいすもちなどに使われる。 |
道明寺粉 | もち米を蒸して乾燥させ、粗挽きにしたもの。桜餅や道明寺おはぎなどに使われる。 |
きりたんぽ | 炊きたてのご飯を適度につぶし、竹の輪のように成形し焼いた秋田名物。 |
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上新粉 | うるち米を精白して粉にしたもの。柏餅や団子などに用いる。 |
ビーフン | うるち米の粉を熱湯でこね、麺状にし乾燥させたもの。水、または熱湯などで戻して使う。 |
米こうじ | 米が原料のこうじ。清酒の醸造やみりん・焼酎・米味噌・米酢の原料となる。 |
ところで、でんぷんの状態には「αでんぷん」と「βでんぷん」があることをご存知だろうか。βでんぷんとは生のでんぷんのこと。固く、消化が悪く、味もよくない。冷えたご飯や焼く前の固い餅がこのβでんぷんの状態。これに加水・加熱することで糊化し、αでんぷんに変わる。炊きたてのご飯や、焼きたてのお餅がまさにαでんぷんの状態。しかしこのα状態も放置しておくと老化し、再びβ状態にもどってしまう。
日本以外でもアジアの国々ではお餅を食べる食文化がある。ここではもち米で作るアジアンスイーツをご紹介。お餅以外にも、もち米を楽しんでみよう!
■材料(3~4人分)
もち米1kg、バンダンリーフの汁1/3カップ、緑豆500g、砂糖650g、ココナッツミルク50cc、食紅適宜、しょうがの絞り汁大さじ3、サラダ油適宜
■作り方
■材料(4~5人分)
もち米2カップ、ココナッツミルク100cc、卵3個、砂糖100g、ココナッツクリーム100cc、塩少々、パパイヤやマンゴーなど適宜
■作り方
■材料(6~7人分)
もち米250g、栗甘露煮5粒、なつめ3粒、くるみ・レーズン・甘納豆 各30g、松の実5g、しょうゆ大さじ1と1/2、黒砂糖40g、はちみつ30g、ごま油少々、シナモンパウダー適宜
■作り方
レシピ参考:「タイとベトナムのごはん」平松洋子著 マガジンハウス刊
「3:00PMはアジアのおやつで」平松洋子編 雄鶏社刊