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健やかに、飲んで食べようお正月!食べ物編

いまでは見る機会が少なくなった「新巻鮭」ですが、鮭の栄養価は決して侮れません。また、おせち料理には、さまざまな料理があり、土地柄で重箱に詰める中身はさまざまです。お正月ならではの食べ物の栄養を紹介します。

鮭の栄養価に注目!新巻鮭

かつてはお歳暮の代表選手として広く親しまれた新巻鮭。これがお歳暮の品になったのは、江戸時代、徳川家に献上されたことに端を発しているとか。内臓を取り除いた鮭の腹に塩をたっぷり加え、荒縄で巻く製法から新巻(または荒巻)鮭と呼ばれた。
今では一軒の家で一匹まるごとの鮭を食べ尽くすのはなかなか難しいためか、新巻鮭を見る機会は少なくなっているようだ。だが、ここで注目したいのは鮭の栄養価。決して侮れない特徴があるのだ。
鮭は健康面からも美容の面からも、たくさん摂りたい食品。ぜひ、このお正月には鮭を使った料理も供してみてほしい。

●カロリーは低く、たんぱく質は高く

可食部100g当たりのカロリーを比べてみると、牛肉(肩ロース)や豚肉(肩ロース)が250kcal前後のところ、生鮭は150kcal程度。また、たんぱく質を比較しても、牛肉や豚肉に含まれるのは18g程度だが、生鮭には20g程度含まれている。鮭はとてもヘルシーな食材なのだ!

●ビタミンDが多い

カルシウムやリンの吸収を助け骨を丈夫にするビタミンDが、イワシの約3倍!ほかの魚類に比べても群を抜いている。

●魚類で唯一!抗酸化物質「アスタキサンチン」を身肉に

抗酸化物質の一種「アスタキサンチン」は、悪玉コレステロールを抑制するはたらきがあるとされる成分。これを含む代表的な食材としてはエビやカニがあげられるが、含有しているのは殻の部分。また、鯛でも皮の部分にしか含有されていない。だが、鮭はこれを身肉に含んでいるのだ。もちろん魚類で身肉に含有しているのは鮭だけ。

●皮にはコラーゲンが

鮭の皮は、肌のハリと弾力を保つためには欠かせないとされるコラーゲンを含有。つまり、美容にも良い食材なのだ。

中身はさまざま!おせち料理

おせち料理

おせち料理はもともとは「五節供」といって、年に5回ある節句の際に年神様にお供えしたもの。このお供えをさげて家族の幸福を願って食べる習わしが、いつのまにかお正月だけのごちそうをさして「おせち料理」といわれるようになったのだとか。鏡餅も同様に、年神様へのお供え物。大小の餅を重ねるのは、月(陰)と日(陽)を重ねるという意味があるという。

さて、このおせち料理だが、現在ではさまざまな料理があり、土地柄で重箱に詰める中身はさまざま。そこで代表的なものについて栄養面を見てみよう。ただし、おせち料理は保存のためもあり、味がかなり濃いのが難点。食べる量は控えめに

黒豆

「マメに暮らせるように」などと言うように、これは家族の健康を願った食材のひとつ。黒豆は大豆の一種で、肌を美しくする良質なたんぱく質を含む。また、コレステロールや脂肪酸の増加を抑えるリノール酸やリレイン酸、疲労回復に効果的なビタミンB群を多く含む。さらに皮の部分には食物繊維も多い。

数の子

アイヌ語でニシンのことを「カド」ということから「カドの子」=数の子と呼ばれるようになったなど、名前の由来には諸説があるが、子孫繁栄を願う食材のひとつだ。コレステロールが多いことで知られるが、血液の流れをよくするエイコサペンタエン酸(EPA)や脳のはたらきをよくし、視力を向上させるドコサヘキサエン酸(DHA)も含まれている。

昆布巻き

「養老昆布」と書いて「よろこぶ」と読ませるなど、さまざまなめでたい説のある昆布巻き。この昆布には、ヨードが多く含まれ、体内の代謝を活発にする。また、利尿作用を促して塩分を排泄するカリウムの含有量は食物のなかでも最高を誇る。食物繊維も豊富で、ごぼうの2倍以上含まれている。

ごまめ(田作り)

「五万米」とも書き、五穀豊穣を祝う食材。これは、カタクチイワシの稚魚を塩水で洗って干した物で、カルシウムやミネラルが豊富。15g程度で1日に必要なカルシウム量600mgの3分の1を摂取できるというのだから驚きだ。

紅白なます

紅白の彩りがおめでたさを演出する縁起もの。にんじんはビタミンA、B、Cを多く含む野菜の優等生。特にカロチンを多く含んでいる。また、大根はでんぷん消化酵素のジアスターゼなどが多く、消化を助けるはたらきがある。
ちなみに、にんじんと大根を混ぜると、にんじんのビタミンC分解酵素がはたらき、せっかくのビタミンCが破壊されてしまう。これを回避するのが仲介役の「酢」。酢が分解酵素のはたらきを抑えるので、ビタミンCがより多く摂れるのだ。

試してみよう!「よめな飯」&「万葉汁」

宵っ張りの朝寝坊になりやすく、毎日おいしいものを食べ続けがちなお正月。そこで、ときには胃にやさしい食事も取り入れたい。万葉集の時代に愛された料理を現代的にアレンジした、こんな料理はいかが?

よめな飯

よめな飯

春を呼ぶ若々しい香りが楽しめる一品。「よめな」とは、万葉集に「ウハギ」とうたわれた植物で、キク科の多年草。その若葉は食用になる。

■材料
よめな(田ゼリ)、米、だし汁、昆布、塩

■作り方

  • よめなをサッとゆがいて水にさらし、かたく絞って細かく切る。
  • 米を水とだし汁、昆布、塩を少し加えて炊きあげる。
  • 炊きあがったら、よめなの刻んだものを加えてできあがり。よめなの代わりに、田ゼリを使ってもいい。

万葉汁

万葉汁

みそ汁と、とろろいもの相性が良く、体の芯から暖まりそうな一品。

■材料
里芋、かぶ、ねぎ、しいたけ、みそ、とろろいも

■作り方

  • 里芋は厚さ4~5mmに、かぶは4つ割にして厚めの小口切りにする。しいたけは薄切りにしておく。
  • みそ汁を作る要領で、里芋、かぶ、しいたけをだし昆布と一緒に煮る。
  • 煮えたらみそを加えて味を整え、最後にすったとろろいもを流し入れる。
  • 器に盛り、ねぎのみじん切りを散らしてできあがり。
公開日:2002年12月24日