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あの食材の健康パワーとは?酢・とうがらし・ヨーグルト編

お酢やヨーグルトが体にいいのは知っていても、どうして体にいいのかご存知ですか?また、とうがらしには体脂肪を減らす効果があると言われますが、本当でしょうか?今回は、これら気になる食材の健康パワーについてご紹介します。

お酢が体にいいのは知っているけど、実際に体にどう効くの?

酢

酢の主な成分は酢酸。ほかにグルコン酸、クエン酸などの各種有機酸が含まれている。食酢の起源は古く、古代からアルコールの副産物として製造され、主に薬用として使用されていた。酢の種類はアルコールとも深い関係があり、イタリア・スペイン・フランスなどのワイン生産国ではワインビネガー、イギリスではウイスキーモルトからモルトビネガーが作られる。また、アメリカではアップルビネガーが一般的。日本では米などの穀物や果汁から作られている。

お酢の健康パワー

食欲増進、消化促進、殺菌効果、疲労回復

酢の物やマリネなどいわゆる前菜には、酢を使ったものが多いが、これは酢のきいた料理を最初に食べることで唾液がたくさん分泌されることや、酢の酸味が味覚や嗅覚を刺激し、脳の摂食中枢(食欲をコントロールしているところ)にはたらきかけて食欲が増すためと考えられている。同時に胃液の分泌も盛んになり、消化吸収を助ける作用もある。
また、酢には殺菌効果と細菌の増殖を抑える効果もあるのでまな板やスポンジなどの除菌に利用してみるのもいいだろう。
さらに酢に含まれる「クエン酸」には疲労回復の効果も期待できる。人間の体にはクエン酸などを中心とする物質代謝の機能があり、たんぱく質・炭水化物・脂質が燃えてカロリーになる際に、クエン酸がはたらく。このクエン酸による物質代謝のサイクルが活発なほど脂肪や乳酸が分解され、エネルギーに変換されることがわかっている。

ヨーグルトは体に良いといわれるけど、どのように良いの?

ヨーグルト

ヨーグルトは牛乳を原材料とし、乳酸菌で発酵させたもの。乳酸菌にはビフィズス菌、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、アシドフィルス菌などがある。ヨーグルトの容器には「はっこう乳」と表記がしてあるが、これは厚生労働省が定めたヨーグルトの呼び名。無脂固形分の割合で発酵乳と乳酸菌飲料に分けられるが、ヨーグルトは無脂固形分8%以上であることが条件。
ヨーグルトには甘味料などが含まれていない「プレーン」、プレーンタイプをかき混ぜて滑らかにして甘味料やフルーツなどを混ぜた「ソフト」、ゼラチンや寒天でプレーンを固めた「ハード」、プレーンタイプをかき混ぜてジュース状にした「ドリンク」、アイスクリーム状にした「フローズン」の5つのタイプがある。

ヨーグルトの健康パワー

腸内環境を整える、便通改善

ヨーグルトに含まれる乳酸菌のはたらきで腸内の善玉菌が殖え、乳酸菌が作り出す乳酸が悪玉菌の増殖を抑えてくれる。また乳酸などの有機酸は腸を活発に動かして便通の改善に一役買ってくれる。年齢とともに腸が老化すると、ビフィズス菌などの善玉菌が減り、悪玉菌が増えることが知られているが、ヨーグルトを毎日食べることで腸内の環境の悪化を防ぐ効果があるといわれている。また、ヨーグルトに含まれる様々な乳酸菌には、腸の免疫細胞や腸や胃の細菌にはたらきかけ、免疫力を高めたりアレルギーや潰瘍を抑える効果があり、研究が進められている。
最近のヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌といった菌の名前だけではなく、株の名前も記載されている。それぞれの乳酸菌や株の特徴を知って、目的別に選んでみては?

ヨーグルトの主な乳酸菌と株

乳酸菌

ブルガリア菌・サーモフィルス菌ふたつ一緒にはたらいておいしいヨーグルトを作る乳酸菌。腸内には定着しない
ビフィズス菌大腸にすむ善玉菌。ビフィズス菌、ブレーベ菌、ロンガム菌などを含むビフィドバクテリウム属の通称
アシドフィルス菌・ガセリ菌小腸に多くすむ乳酸菌。プロバイオティクス効果が高い
ロイテリ菌母乳にも多く含まれる乳酸菌のため、赤ちゃんのお腹にも多い。抗生物質を作って免疫向上に寄与する

LGGアトピーや免疫を改善する効果があるとされる乳酸菌の株
LC1生きたまま腸に届き、腸に付着しやすい乳酸菌の株
BE80生きたまま腸に届き、腸に付着しやすいビフィズス菌の株
LG21胃潰瘍の原因菌・ピロリ菌を減らす効果が高い乳酸菌(ガセリ菌)の株

とうがらしに体脂肪を減らす効果があるというのは本当?

とうがらし

とうがらしはナス科トウガラシ属で、ピーマンやししとうがらしの仲間。原産国は南アメリカ。日本への渡来については諸説あるが、江戸時代にはすでに盛んに栽培されていたことがわかっている。辛味種と甘味種の2種類があり、辛味種の一種、鷹の爪を粉末にしたものが一味とうがらしで、ほかの香辛料と合わせたものが七味とうがらし。

とうがらしの健康パワー

抵抗力を高める、エネルギー代謝を活発にする

とうがらしの辛さはとうがらしに含まれるカプサイシンによって生じるもの。カプサイシンには体内の白血球の中の細胞のひとつ、好中球を活発にはたらかせる作用があるといわれている。好中球は体内に侵入してくる病原菌などを食べてくれる役割を持っている。つまり、とうがらしには体の抵抗力を高める効果を期待できるのだ。
またカプサイシンには脂肪をエネルギー源として燃やすのを手助けする作用もある。そのためとうがらしを定期的に食べることで体にたまっている脂肪が使われ、その結果、内臓脂肪を減少させることも期待できる。
ただし、内臓脂肪を燃やす反面、食欲増進効果もあるので、ダイエット目的でとうがらしばかりを食べるのは考えもの。とうがらしを大量に食べると辛い刺激で胃腸を痛めることもある。くれぐれもご注意を。

公開日:2002年12月2日