30代までは骨の成長期。この期間に骨密度をどれだけ上げておくかが大切なポイントとなります。そのためにも、一度骨密度を測定しておくことをおすすめ。 食事と運動からの骨ケアもご紹介します。
目に見えない骨だが、あなたの生活習慣はそのまま骨に反映されている。また体質的なものも大きく関わってくるので、心当たりがある人は、以下の項目で当てはまるものが多い人は今から骨粗しょう症に備えておこう!
骨粗しょう症はほとんど自覚症状がなく、気付いたときにはもう骨がスカスカになってしまった状態。そうなる前に、まずは自分の骨密度を測ってみよう!骨密度測定について、東京都健康づくり推進センター指導科の小野文子氏にいろいろお話をうかがった。
東京都健康づくり推進センターでは、DXA(デキサ)法によって、骨密度を測定している。これは放射線を用いて腰椎の測定を行うもの。現在、最も信頼性の高い骨密度測定方法とされている。ほかにも、SXA法(踵骨または上腕の測定)、MD法(手指の測定)、超音波法(踵骨の測定)などがある。
注)DXA法による放射線被曝量=0.55ミリシーベルト 胸部レントゲン写真=0.3ミリシーベルト、1年間で自然に浴びる放射線被曝量=2.4ミリシーベルト
DXA機械
超音波法
小野氏によれば、「測定部位、測定方法が違うと、必ずしも同じ結果が得られないこともあります」とのこと。年齢の平均値より多い少ないと気にするよりも、加齢によって下がってゆく骨密度をどれだけ下げ止まらせることができるかが大切だという。
「30代までは骨の成長期にあたるんです。この間にいかにピークを高く持っていくかが大切です。ピーク値が高ければ、年齢とともに骨密度が減っていっても骨粗しょう症の発症年齢をかなり遅らせることができるのですから。骨粗しょう症は高齢者の病気というイメージが強く、20代30代で骨密度を測りにいらっしゃる方はあまり多くないのですが、むしろ若いうちに一度測って、自分の骨の状態を知っておいて欲しいですね。40代、50代で骨密度が低下しているとわかっても、そこから増やしていくのは大変。でも、30代ならまだまだやり直しができるんです!是非一度測りに来てください」。
また、最近の20代の女性の体型がスリムになって、骨密度の平均値がこれまでより下がりつつあることが気になるとも。骨ケアは若いうちから始めてこそ、効果的なのだ。
ご存知のように、骨にはカルシウムが欠かせない。成人では1日に600mg以上のカルシウムが必要だが、残念ながらカルシウムはどんな食品にもたっぷり含まれているわけではなく、さらに吸収率もあまりよくない。普段から心してカルシウム摂取につとめよう。
牛乳に含まれる乳糖にはカルシウムの吸収を促進するはたらきがある。カルシウムが最も骨に蓄積されやすいのは夜。夕食後に飲むのが一番効果的。
牛乳を飲むとお腹がくだってしまうという方には、チーズやヨーグルトがオススメ。
骨ごと食べられる小魚はつみれにしたり、ふりかけにしたりといろいろアレンジできる。また南蛮漬けやサラダなど、お酢を使って調理するとさらにカルシウムの吸収がアップする。そのほか、カルシウムを多く含む食品については、カルシウムを効率よく摂るためのポイントを参照。
また、食事から摂ったカルシウムはビタミンDのはたらきによって吸収が促進される。ビタミンDは日光(紫外線)によって皮膚下で合成されるが、食事からも摂取できる。ビタミンDの多い食品は、まぐろ、さんま、うなぎの蒲焼、卵、カレイなど。
骨ケアにも運動は欠かせない。運動して骨に負荷をかけることで骨に電気が走り、カルシウムが沈着しやすくなるのだ。また筋肉が強化されて骨を保護し、骨折しにくくなるという面もある。若い頃から運動を続けてきた人や、日常生活で体をよく動かしている人は骨密度が高いというデータもある。
骨ケアには激しすぎる運動でなければ、どんなものでもOK。毎日できるような運動を長続きさせることが肝心。これから何か始めるとしたら、ウォーキングがおすすめ。地球にはたらく重力で、歩くだけでしっかり骨に負荷をかけることができる。1日1時間を目標に、それがムリならせめて30分多めに歩くことを続けてみよう。