「肝臓病」と言っても、その種類はたくさんあります。それを原因で分類するなら、「ウイルス性」「薬剤性」「アルコール性」「自己免疫性」「先天性」などに分けられます。そのなかでも代表的な肝臓病の原因は「ウイルス性」と「アルコール性」です。
肝臓は人の体の右上腹部にあり、肋骨に守られるように囲まれている。人体の臓器としては一番大きなもので、重さは体重の1/50ほど。成人男性なら1.2kg~1.6kg程度ある。 また、肝臓は自己再生能力が高く、肝臓の75~80%を切り取っても、約4ヵ月後にはもとの大きさと機能を回復しているのだ(ちなみに胃を切除しても胃そのものは再生しない)。
肝臓の主なはたらきは、代謝、解毒、胆汁の分泌などがある。
肝臓は約3000億個以上の肝細胞が集まってできている。肝臓病になるとその肝細胞が次々に壊れていくが、なにせもともと余力のある臓器なので、少々悪くなっても自覚症状は出にくい。裏を返せば、自覚症状が出た時には肝細胞の大部分が壊れてしまっているのだ。
実際、自覚症状のひとつ黄疸が出てはじめて肝臓病に気がつくケースは全体の3割。一方、日頃健康だと思っていたのに、健康診断などの機会に偶然発見されるケースが7割を占めているのだ。
これが「肝臓は沈黙の臓器」と言われる理由である。
体がだるい、食欲がない、吐気がする、尿の色が濃い、体が黄色になる、体がかゆい、手のひらが赤い、お腹が張る、足がむくむ、(男性で)お乳が張って痛い、かび臭い口臭がする、など
一言で「肝臓病」と言っても、その種類はたくさんある。それを原因で分類すると、「ウイルス性」「薬剤性」「アルコール性」「自己免疫性」「先天性」などに分けられる。また、肝臓の状態、つまり病名で分類すると、「肝炎」「肝硬変」「脂肪肝」などが主なものだ。
そのなかでも代表的な肝臓病の原因は「ウイルス性」と「アルコール性」である。
慢性肝炎が通常6ヵ月以上肝炎が続いている状態をいうのに対し、急性肝炎とはこれまで正常に機能していた肝臓に突然肝炎が起こり、たくさんの肝細胞が破壊される病気。その主な原因は肝炎ウイルスだ。
日本で一番多い肝炎はB型やC型。これは、過去にたくさんの感染者が出たためなのだ。しかし、現在ではこれらの肝炎ウイルスの感染をなくす努力がされており、新しい感染はほとんど見られなくなっている。
ウイルスの種類 | 感染経路 | 慢性化 |
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A型肝炎ウイルス | 食べものや飲料水から | なし |
B型肝炎ウイルス | 血液や体液 | 子供では高率、大人ではまれ |
C型肝炎ウイルス | 血液や体液 | 70%が慢性化 |
D型肝炎ウイルス | 血液や体液 | あり |
E型肝炎ウイルス | 食べものや飲料水から | なし |
G型肝炎ウイルス | 血液や体液 | あり |
TT型肝炎ウイルス | 血液や体液 | あり |
急性肝炎になると発熱や吐気、だるさ、など風邪に似た初期症状が出て、3~4日すると濃い色の尿、皮膚や目の黄疸などの症状が見られる。
急性肝炎でコワイのは劇症肝炎や慢性肝炎になること。劇症肝炎になる確率は急性肝炎の1%程度だが、一度劇症化すると死亡率は70%以上もあるのでかなり危険である。
日本で現在、病院にかかっている肝臓病で最も多いのは、肝炎ウイルスによる肝炎や肝硬変、肝がんなどだが、もうひとつ重要な肝臓病がある。それが、前述のアルコール性の肝障害だ。
お酒をたくさん飲む人はちょっと心当たりがあるかもしれないが、軽いものでは脂肪肝やアルコール性肝繊維症、重症ではアルコール性肝炎やアルコール性肝硬変などがある。日本では、アルコール性肝障害は軽症も含めると人口の約2%強、300万人ほどいるといわれ、そのうち5万人ほどが肝硬変だと推定されている。
一般的に、飲酒の量と飲酒期間に比例して肝臓病の症状が進行しているのだ。