疾患・特集

密かな悩み「痔」の三大疾患とは

決して恥ずかしい病気じゃないのに、秘密にされがちな「痔」。なぜ、痔になるのでしょうか?痔の3つのタイプについてご紹介します。

「痔」ってどんなもの?痔の三大疾患

人に言うにはちょっと恥ずかしい病気の「痔」。オジサンに多い病気かと思えば、実はそうでもなく若い女性でも痔持ちは多い。たとえお尻が痛くても、出血しても、恥ずかしさからなかなか病院へ行けず、そして悪化してしまう人も多いようだ。
そんな「痔」だが、主に3つの種類があるという。

痔核(=イボ痔)

イボ痔

最も多いのがこのタイプ。排便時や長時間座りっぱなしなどで刺激を受けた肛門の血管が、部分的に腫れてイボ状になったもの。肛門の歯状線の部分より、外側にできたものを外痔核、内側にできたものを内痔核という。内痔核は痛みがないが出血しやすく、外痔核は出血は少ないが痛みがあるという特徴がある。

裂肛(=キレ痔)

切れ痔

肛門縁(肛門の出口)から1.5cmほどの所は表面が皮膚に似た上皮で覆われていて、肛門と呼ばれるが、この部分にできた傷を裂肛という。主に便秘で硬くなった便を無理に出そうとする時に肛門が裂けたり、便で傷つけることがある。出血することもあるが、ほとんどの場合少量。

痔瘻(じろう=アナ痔)

痔ろう

肛門が化膿した後に膿(うみ)が出て、その穴がいつまでも治らず、ずっと膿が出つづけたり、いったん治ったかと思ってもまた膿が出るタイプ。肛門の周辺に膿がたまった状態を「肛門周囲膿瘍」といい、この段階では肛門の周りが腫れて熱を出し、激しく痛む。

その原因は「便秘」「姿勢」

なぜ痔になるのだろうか。
そもそも、犬や猫には痔はない、という。それは、人が直立歩行をする動物であるからだとも言われている。犬や猫は心臓と肛門が同じ高さにあり、それほど肛門付近の血管に圧力がかからないが、人は心臓が高い位置にあるため、肛門付近の血管がうっ血し、肛門に負担をかけているのだ。
そのほか、こんなことが原因だとか。

  • ●便秘でいつも硬い便をいきんでしている。また、下痢症の人も痔になる
  • ●アルコール、たばこ、辛いものが好き
  • ●長時間同じ姿勢を続ける(座りっぱなし、立ちっぱなし)
  • ●妊娠、出産
  • ●遺伝的な要素

これらはイボ痔ができやすい原因だが、とくに排便のリズムが崩れると、キレ痔にもなる。さらに、下痢などの場合、肛門の肛門腺窩というポケットに便が入り込んで化膿し、アナ痔になりやすいのだ。
便秘も下痢も痔には要注意だ!

肛門の構造

肛門ってどんな構造なのか、見たことはあるだろうか。
出血や痛みでもない限り、自分の肛門を見たことはない人がほとんどだろう。というわけで、肛門の構造を図で紹介しよう。

肛門の構造

肛門は直腸とつながった構造をしており、そこにギザギザの線のように見える歯状線がある。歯状線の部分には、十ヵ所前後のくぼみ「肛門小窩」があり、その奥に肛門線が開口している。
肛門上皮と直腸下部の粘膜の下には、網目のように血管が豊富に集まっている。これを「肛門静脈叢」といい、この部分の血管が膨らんで静脈瘤になったものがイボ痔なのだ。

公開日:2002年2月18日