疾患・特集

お酒は体に良い?悪い?

お酒は、「万病のもと」でしょうか?それとも「百薬の長」でしょうか?適量であれば、体にとって良い点もあるようです。しかし、限度を超えてしまうと命を落とすことも…。お酒の良い点、悪い点をご紹介します。

お酒って体にいい?お酒の良い点

ワイン

大好きな人にはたまらないお酒。お酒は健康の大敵なんていわれるけど、量次第で良いこともたくさんある。特に女性に人気の赤ワインもそのひとつだ。
ここでは、お酒の良い点をいくつか紹介しよう。

赤ワインで動脈硬化を防止!

赤ワインには、ポリフェノールと呼ばれるブドウの皮と種に多く含まれる天然物質の色素や成分が多く含まれている。動脈硬化は、血液中に余分なコレステロールが増え過ぎ、血管に溜まった結果、起こる病気だが、ポリフェノールには、この動脈硬化を予防するはたらきがある。

白ワインで食中毒防止!

白ワインは有機酸を多く含み、酸性度が高いため殺菌力が強い。実際、食中毒の原因でもあるサルモネラ菌を白ワインに付けたところ、10分後には47万個あったサルモネラ菌が60個に減ったという。ほかのアルコールや赤ワイン、酢などに比べても効果は絶大だ。

ビールには美肌効果が!

ビールに含まれる麦芽には、美肌効果があるビタミンB2が含まれている。このほかにも、ビタミンB群をはじめとして、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウムなど、豊富なミネラル類がバランスよく含まれている。また、女性ホルモンの乱れから起こる更年期障害による肩こりなどにも、微量ながら効果あり。

なんといってもストレス解消!

お酒を飲む理由はなんといってもコレではないだろうか。アルコールは大脳の中の理性をつかさどる前頭葉に軽い麻痺を起こさせるため、嫌なことをパーっと忘れて楽しくなれるのだ。ただし、飲み過ぎると運動機能をつかさどる小脳にまで麻痺が進み、歩くことはおろか意識までもうろうとしてしまうため要注意!

危険がたくさん!お酒の悪い点

いいことづくめのお酒のようだが、適量を超えればもちろん万病のもと。命を落とすことだってある!

脂肪肝

1日5合以上の飲酒を1週間ぐらい続けていると必ず起こるといわれる。肝臓の細胞内の脂肪量が増えた状態をいう。初期はとくに症状はないが、ひどくなると腫れてくる。自分のお腹(右側の肋骨の一番下あたり)を押してみて、硬くなっていたら脂肪肝の恐れあり

  • ●アルコール性肝炎
    脂肪肝の状態でさらに過度に飲みつづけると、食欲減退、吐き気、倦怠感、腹痛、発熱、黄だん、肝臓が腫れて重苦しいなどの症状が出る。これは、肝細胞の一部が破壊されてしまったため、肝臓が炎症を起こしているのだ。この肝炎を繰り返していると、肝硬変につながることになる。
  • ●肝繊維症
    肝臓の中に、目に見えない糸のようなものがたくさんできて、肝臓が硬くなる病気。このため、肝臓の血液の流れが悪くなり、細胞自体が傷ついてしまうわけだ。自覚症状はアルコール性肝炎と同じだが、倦怠感や発熱、黄だんなどの症状はないようだ。

肝硬変

肝臓に何度も炎症が起こると、胃腸から肝臓に入ってくる血液の流れが悪くなり、肝臓を通り抜けられずに肝臓や脾臓にパンパンになるくらいに溜まってしまう。そして、ほかの通り道を求めて、普段は通らない食道の血管を迂回しようとする。これが、「食道静脈瘤(りゅう)」といわれるもの。食べ物が食道を通った摩擦で破裂し、大出血を起こしてしまうことがあり、死につながりうる症状である。

高血圧

飲酒は動脈硬化などにつながりやすい高血圧の原因にもなるようだ。統計的な研究をもとにすると、1日2合以上飲んでいると血圧が高くなるという説もある。高血圧は生活習慣病のなかでも最も多い疾患で、放っておくと脳血管障害、虚血性心疾患などの死亡率の高い病気を引き起こすことになる。

アルコール依存症

過度の飲酒が体に害を与え、社会や家族にも迷惑をかけていると知りながら飲む、いわば心の障害。現在、230万人以上の患者がいるといわれ、かなり深刻な問題になってきている。お酒がなければ気分がすぐれず焦燥感に陥る精神依存の場合や、お酒が入っている時は一見正常に見えるのに、アルコールが体内から消えていくと落ちつかなく、吐き気や手の震えを感じるなど身体依存の場合がある。

公開日:2001年12月3日