何を食べても味がしない。「味覚障害」といわれる症状が増えているようだ。味覚障害となる原因のひとつは亜鉛不足と言われている。味覚のチェックは、病院で簡単に検査できる。
「何を食べても味がしない」「食べ物の味が薄く感じられる」「作った料理が濃すぎると、家族に言われた」―こんな症状を訴える人が増えているようだ。
これは、味覚障害といわれる症状。食べている物の味がしないことほど気持ちの悪いことはない。味覚障害は、知らず知らずのうちに症状が進行し、気がついた時にはかなり症状が進んでいるケースも少なくない。
参考文献:「亜鉛パワーの秘密」冨田 寛 宙出版
味覚障害に陥る原因は、いくつか考えられる。舌に異常がある場合や風邪をひいて嗅覚が鈍っているケースもあるが、主な原因は亜鉛不足と言われている。
ちなみに、味覚を感じるのは、舌や上あごにある味蕾(みらい)という器官。舌の表面を覆っている白いぶつぶつした突起物を糸状乳頭といい、その中にあるぽつぽつした赤い部分を茸状(じょうじょう)乳頭という。その中に味蕾はある。
また、味蕾は舌の奥のほうの10個くらい逆V字型に並んでいる大きないぼいぼ(有郭乳頭という)の中や、舌の両側のつけ根に赤く盛りあがって見える葉状乳頭と呼ばれる部分や、上あごの奥の口蓋垂(いわゆるのどちんこの上の部分)にもある。
実はこの味を感じる細胞は、短い周期で新しく生まれ変わっており、そのためにはたくさんの亜鉛を必要とする。つまり、亜鉛が不足すると細胞が生まれ変われなくなってしまい、味覚障害を引き起こしてしまうのだ。
自分の味覚がおかしい、なんてなかなか気がつかないことがある。とくにひとりで食事をする機会が多い人は、知らないうちに症状が進行してしまうこともある。
病院での診断には電気味覚検査法と濾紙ディスク法がある。いずれも簡単にできる検査なので、検査設備が整っている病院で受けよう。なお、味覚障害と聞くと内科などの受診を思い浮かべがちだが、耳鼻咽喉科で検査設備が整っていることがあるので、出かける前に問い合わせてみよう。