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レビー小体型認知症の症状チェック

レビー小体型認知症が見逃されていないかをチェック

認知症の症状としては、一般的によく知られているのは、記憶障害です。レビー小体型認知症の場合はそれに加えて、実際にはないものが見える幻視や、「手足のふるえ」「筋肉のこわばり」などのパーキンソン症状もみられます。下記のチェックリストで5つ以上該当するものがあれば、レビー小体型認知症の可能性が疑われると言えます。

「レビー小体型認知症」チェックリスト

「レビー小体型認知症」チェックリスト

  • もの忘れがある
  • 頭がはっきりしているときと
    そうでないときの差が激しい
  • 実際にはないものが見える
  • 妄想がみられる
  • うつ的である
  • 動作が緩慢(ゆっくり)になった
  • 筋肉がこわばる
  • 小股で(小刻みに)歩く
  • 睡眠時に異常な言動をとる
  • 転倒や失神を繰り返す
出典:『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』(メディカ出版)

レビー小体型認知症の診断で行われる検査

脳の断面図の画像を撮影する、CTやMRIといった検査では、脳の萎縮などを確認します。また、核医学検査といって、脳の血流や代謝を調べる検査が行われることもあります。レビー小体型認知症は、脳だけでなく心臓にも変化がみられるため、ときには心臓を調べる検査なども行われます。

さまざまな症状が現れるレビー小体型認知症は、診断が難しい病気とされています。レビー小体型認知症の可能性が疑われても、最終的な診断には、専門の医師による問診や各種検査が必要です。

幻視は、レビー小体型認知症に特徴的な症状

レビー小体型認知症の症状で特徴的なのが、幻視です。実際にはないものが見える症状で、見えるものとしては主に虫、小動物、人などがあります。

幻視の例

動物に関するもの

「ネズミが壁を這いまわっている」「ヘビが天井に張りついている」「ご飯の上に虫がのっている」など

人に関するもの

「知らない人が座敷に座っている」「おばあさんがこちらを見て立っている」「子供たちがベッドの上で遊んでいる」「兵隊がゾロゾロやって来る」「〇〇さん(知人、家族、他界した人など)が遊びに来ている」「誰かがベッドで寝ている」「窓から男の人が入ってくる」「女の幽霊が現れる」など

環境に関するもの

「大きな川が流れている」「床が濡れている、水たまりができている」「光線が飛んでくる」「きれいな花が咲いている」「物が吸い込まれていく」など

出典:『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』(メディカ出版)

アルツハイマー型認知症の場合、幻視が現れるのはまれです。幻視は「無数のハエが飛んでいるので、殺虫剤をまかなければ」「子供が来ているから、私が世話をしなければ」といった妄想に発展する場合もあります。

パーキンソン症状をはじめとする、さまざまな症状

「手足のふるえ」や「筋肉のこわばり」といった、パーキンソン病と共通するパーキンソン症状も、レビー小体型認知症の特徴的な症状です。そのほか、次の症状がみられることもあります。

  • 認知の変動(頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい)
  • 抑うつ症状
  • レム睡眠行動障害(睡眠中に「うなされる」「大きな声で寝言を言う」「奇声をあげる」「怒る」「怖がる」「暴れる」といった異常な言動をとる)
  • 自律神経症状(「起き上がったり立ち上がったりしたときに、急激な血圧低下で転倒や失神を起こす」など)

レビー小体型認知症が疑われる場合は、これらの特徴的な症状をあることを、医師に伝えるとよいでしょう。

(参考資料)
  • 文献1:『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』(メディカ出版)
  • 文献2:『知っていますか?レビー小体型認知症』(メディカ出版)
公開日:2016年8月8日