本当は双極性障害なのに、うつ病と診断されていることもあります。うつ状態のとき、躁状態のとき、双極性障害の症状をチェック。
双極性障害の人は、うつ状態が比較的長いため躁状態に気付かれず、うつ病と診断されていることが多くあります(文献1)(文献2)(文献3)。うつ病だと診断された人のうちの約10人に1人が、実際には双極性障害との報告もあります(文献3)。双極性障害では、うつ状態と躁状態の正反対の症状が同時に起きる「混合状態」になることもあります(文献2)(文献3)。次の症状が、ある一定の期間、またはずっと続いていないか、チェックしてみましょう。
症状の中には、周囲の人のほうが気付きやすいものもあります(文献1)(文献2)。本人だけでなく、客観的に見ることができる家族が「以前と違う」と感じるところがないかをチェックすることも勧められます。
出典:『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)
ほかにも、次のような症状がみられることがあります(文献1)(文献2)。
うつ病のほかにも、双極性障害と似た症状が現れる精神疾患があります(文献1)(文献2)。いずれの場合も症状がまぎらわしく、一度だけの診察で正しく診断するのは困難だと言われています。専門医の下で、継続的に診察を受けることが勧められます。
陽性症状(幻覚、妄想など)と陰性症状(感情が乏しくなる、意欲が低下するなど)という二面性がある点や、誇大的な話をする点、興奮状態になる点などが似ています。
人から見捨てられることへの恐怖感や、空虚感があることを除いて、衝動的な言動がみられる、イライラして激しく怒ることがある、不安な気持ちになるなど、多くの共通点がみられます。
双極性障害の症状の中には、本人より周囲の人のほうが気付きやすいものがあります。特に躁状態の症状は、本人に病気の自覚はなく、むしろ調子が良いとさえ思っている可能性があります(文献1)。思い当たる症状があるときは、受診を勧めてみましょう。場合によっては、まずは家族だけで医師に相談してみても良いでしょう。
参考資料:
文献1:『双極性障害(躁うつ病)のことがよくわかる本』(講談社)
文献2:『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』(主婦の友社)
文献3:『双極性障害(躁うつ病)とつきあうためにVer.6』(日本うつ病学会)
文献4:『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)
監修医:
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 総長 樋口 輝彦 先生
九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野 教授 神庭 重信 先生
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