監修:昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科部門教授 足立 満 先生
喘息発作が引き起こされるきっかけは実にさまざまであり、人それぞれ。事前に予防をするには、自分はどのような状況で発作がひどくなるのかを、あらかじめ知っておく必要がある。ここでは、日常の暮らしの中では避けにくい状況と、その対処法を紹介したい。
喘息発作は、天候の変化に大きく影響を受けて悪化することがある。例えば、一年の中でもっとも雨が多くなり、ジメジメとした空気になる梅雨の時期。原因としては、寒暖の差や湿度が高くなったことで、ダニやカビが発生しやすくなったことが考えられる。
掃除機をかける、換気を心がけるなどの対策をしても改善しない場合は、目につかないところにも気を配りたい。見過ごされやすいのは、エアコンの中。ここにダニやカビが潜んでいることは少なくないが、気づかないと、風に乗って部屋中に撒き散らされてしまう。また、家具の裏などにも目を向けたい。ホコリがたまっているだけではなく、ダニなどの死骸が放置されている可能性もある。
ストレスは多くの病気と関係しているが、喘息も例外ではなく、発作の悪化を招くことがある。ストレスを感じないように暮らせれば良いのだが、現代人にとって、ストレスと無縁の生活を送るのは簡単なことではない。 ストレスを感じる状況をどうしても避けられないようであれば、ストレスを解消する方法を見つけるようにしたい。好きなことに熱中する、十分に休息をとるなど、その手段は人それぞれ。自分にとって一番良いと思える方法を見つけよう。
など
運動をすると発作が起きる喘息の患者さんは少なくないが、一口に運動といっても、発作の起きやすさは運動の内容によって異なる。起きにくいといわれる運動の代表は水泳であり、反対に、ランニングは発作が起きやすいといわれるが、これも個人の体質や、走る距離によっても違うだろう。喘息だからといって、してはいけない運動というものはないので、発作が起きないように治療したうえで、自分にあった運動内容を見つけよう。
喘息の患者さんの中にも、肥満の予防や糖尿病の治療のために、ウォーキングを勧められている人もいるだろう。発作に対する不安があるからといって、運動をしないのは良くないので、医師とよく相談して、無理せず歩ける自分のペースを見つけることが大切だといえる。
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