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効く仕組みからわかる!前立腺肥大症の薬

前立腺肥大症を治療するには?

前立腺肥大症の治療方法

男性特有の臓器である前立腺が、年齢を重ねるのとともに大きくなる「前立腺肥大症」。大きくなった前立腺が尿道を圧迫することで、尿が出にくくなる排尿困難や、夜に尿意を感じて何度もトイレに行く夜間頻尿などが引き起こされる。
治療方法は、病気の程度によって異なる。あまり進行していない場合は、生活の見直しとともに経過を観察するのにとどめ、軽度または中等度の場合は薬物療法が行われる。中等度以上ではレーザーや外科手術などによる治療が行われる。一般的に、薬物療法から始めて様子を見ながら、必要に応じて手術療法などに移行することが多い。

よく使われるのはこの2種類

前立腺肥大症の薬物療法では、主に次の2種類の薬が用いられる。

α1(アルファワン)遮断薬

前立腺肥大症の患者の脳からは、α1受容体という細胞組織を通して、膀胱頸部と前立腺にある平滑筋という筋肉に、収縮するように指令が出される。正常な排尿ができなくなるのは、平滑筋が収縮して、尿道が狭くなることによるもの。α1遮断薬を投与すると、この指令がα1受容体に届くのが妨げられるため、平滑筋がゆるんで尿道が広くなり、排尿の問題が改善される。効果が現れるのが比較的早く、効き目も長く続くため、前立腺肥大症を治療する標準的な薬として使用されている。
副作用として、起立性低血圧やめまいなどが現れることがあるが、ほとんど起こらないといわれている。

抗男性ホルモン薬

前立腺の肥大には、テストステロンという男性ホルモンが関係していると考えられている。この薬を投与することで、男性ホルモンが前立腺に及ぼす作用を抑え、前立腺を縮小させることができる。
効果はゆっくりと現れ、排尿の問題も徐々に治まっていくが、投薬を中断すると、いったんは小さくなった前立腺が再び大きくなることがある。副作用として、性欲減退や勃起障害などがまれに起きることがある。

そのほかの薬を使用することも

ほかにも、植物エキス製剤やアミノ酸製剤、漢方薬などを使用することがある。これらの薬は、どのような仕組みで作用するのか、また、どれくらい効果があるのか詳しくはわかっていない。主に、手術をすることができない高齢の患者や、他の薬を服用しているため、α1遮断薬と抗男性ホルモン薬を投与できない患者などに用いられる。
アミノ酸製剤は胸焼けや膨満感などの副作用がみられることがあるが、植物エキス製剤や漢方薬に副作用はほとんどないといわれている。

治療を受けずに放置していると、薬だけでは対処できないほど進行している場合もある。排尿について異常を感じたら、なるべく早く病院で相談するようにしよう。