忍び寄る合併症「糖尿病神経障害」を知っていますか?糖尿病で本当に怖いのは、合併症です。なかでも多くの人を悩ませる「糖尿病神経障害」について、取り上げていきます。
糖尿病治療の原則は、なんと言っても血糖をコントロールすることにあります。血糖値が高いと合併症が起こりやすいため、血糖はなるべく正常に近い値になるように注意を払いましょう。具体的には、空腹時血糖値は110mg/dL以下、食後2時間値は180mg/dL以下、ヘモグロビンA1Cは7.0%以下(できれば6.5%以下)を目標とします。また、血糖コントロールの際には低血糖にならないよう注意します。
ほかにも、肥満や高血圧、高脂血症などメタボリック・シンドロームに該当するような人はこれらの治療も同時に行い、動脈硬化の予防に対する対策も必要です。
仮に糖尿病が進行し、「糖尿病神経障害」などの合併症を併発したとしても、軽いうちなら食事療法や運動療法で克服が可能です。自分に必要な1日の総エネルギー量を守り、栄養バランスのとれた食事や適度な運動を心がけましょう。
しかし、「糖尿病神経障害」が進行している場合、血糖コントロールや生活習慣の改善に加え、神経障害の症状をやわらげるための薬物療法が必要となってきます。
治療薬には、神経障害の原因物質とされる「ソルビトール」がつくられるのを抑える「アルドース還元酵素阻害薬」のほか、痛みをやわらげる鎮痛薬や、自律神経障害によって起こる下痢や便秘の症状をやわらげるための整腸薬などが処方されることになります。
糖尿病になってしまったら、血糖値が低すぎず、高すぎず、ちょうど良い範囲以内に落ちつくように、食事や運動などを心がけていることが必要です。空腹時だけでなく、食後の血糖値が高いままになっていては良くありません。神経障害などの合併症が起こってからでは、それ以上悪化させないための注意とともに、細菌感染や外傷に対する注意も怠らないようにしましょう。糖尿病患者さんは傷の回復力も低下しやすいので、ケガをしないような注意も必要です。
ほかにも、「糖尿病神経障害」の患者では足の感覚が失われている人が多いため、日常生活を送る上で注意することは多くあります。下記の点などに配慮して、足の症状が悪化しないよう注意を払いましょう。