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糖尿病は本当は怖い病気~その理由、知っていますか?

糖尿病とは、血液中のブドウ糖が高くなる状態(高血糖)が続く病気です。糖尿病で問題なのは、初期にはほとんど自覚症状がない病気ということでしょう。適切な血糖コントロールが持続できないと、しだいに糖尿病が進行してさまざまな「合併症」が出現するようになります。糖尿病で本当に怖いのは、この合併症です。なかでも多くの人を悩ませる「糖尿病神経障害」について、取り上げていきます。

糖尿病の可能性が否定できない人は推計1,000万人

グラフ:糖尿病が強く疑われる人、糖尿病の可能性が否定できない人は推計2,000万人
出典:平成28年国民健康・栄養調査結果の概要より作成

糖尿病とは、血液中のブドウ糖が高くなる状態(高血糖)が続く病気です。
厚生労働省が発表した「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、「糖尿病が強く疑われる人=約1,000万人」「糖尿病の可能性が否定できない人=約1,000万人」と推計されており、その合計数は約2,000万人という結果となりました。
「糖尿病が強く疑われる人」とは、ヘモグロビンA1c 値が6.5%以上で(平成19 年まではヘモグロビンA1c値が6.1%以上)または「糖尿病治療の有無」に「有」と回答した人です。「糖尿病の可能性を否定できない者」とは、ヘモグロビンA1c 値が6.0%~6.5%未満(平成19 年まではヘモグロビンA1c値が5.6%以上、6.1%未満)で、「糖尿病が強く疑われる者」以外の人です。
平成19年では約2,210万人に増加し、平成20年では約2,050万人、平成28年では約2,000万人と減少していますが、「糖尿病が強く疑われる人」はいまだに増加傾向にあります
「糖尿病の可能性が否定できない人」は、糖尿病のリスクがある予備軍です。最近はメタボリックシンドローム対策の特定健診・特定保健指導が普及したことから、平成20年以降は減少傾向にあるとの指摘がありますが、それでも1,000万人という推計結果です。

糖尿病は怖い?怖くない?その真相

糖尿病と診断されても、食事療法、運動療法、薬物療法を行い適切な血糖コントロールを続ければ、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることができます。
しかし問題なのは、糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状がない病気ということでしょう。「痛い」「苦しい」などの自覚症状がないことから、食べ過ぎ、運動不足、医療機関を受診しない、薬の服用方法を守らないなど、治療を放置した状態が続きます。すると適切な血糖コントロールが持続できなくなり、しだいに糖尿病が進行してさまざまな合併症が出現するようになります。
糖尿病で本当に怖いのは、この合併症です。多くの場合、10年前後でさまざまな合併症が現れるようになります。なかでも代表的なのが、次に紹介する糖尿病の「3大合併症」です。

板倉先生よりワンポイントアドバイス

糖尿病が合併症を起こすのはナゼ!?

心臓や脳など、体の臓器はブドウ糖を使ってはたらいています。このため、体はブドウ糖が不足しないようにできているのですが、現代社会においては、逆に食べ過ぎなどによってブドウ糖が過剰になるという問題が起こっています。とくに食後の血糖値の増加が問題です。
過剰になったブドウ糖は、目や腎臓や血管などの臓器にべたべたと結合します。そして知らず知らずのうちに臓器の機能が低下してしまいます。
それが何年かたって、ついに合併症として現れてくるのです。

早い場合は5年で合併症が出現!

糖尿病の「3大合併症」と言われるものは、「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」の3つです。
「糖尿病網膜症」は眼の網膜にある細い血管に異常が起こり、最悪の場合、失明する危険もある合併症です。「糖尿病腎症」は適切な血糖コントロールが持続できないまま5~10年が経過すると起こってくる合併症で、尿中にタンパク質が認められるようになり、放置すると腎機能が悪化して腎不全となり、人工透析が必要となってきます。
「糖尿病神経障害」は適切な血糖コントロールが持続できないでいると、たった5年ほどで症状が出てくることもあるといいいます。最悪の場合、足を切断する恐れもあるこの合併症について、次のページで詳しく解説をしていきましょう。

公開日:2008/08/04更新日:2018/07/09