疾患・特集

COPD 呼吸ストレッチと栄養管理でQOLを維持しよう

適度な運動で呼吸機能を保とう

COPDで呼吸が苦しくなってくると、つい動くのを制限しがちになる。しかし、適度な運動はQOLの向上にもつながるのだ。なかには「運動したらますます息が苦しくなる」と思う人もいるだろう。しかし呼吸に必要な筋力がなければ、ますます体は弱まり、寝たきりになってしまいかねない。息切れしないよう、薬物療法で正しいコントロールを行いながら、医師の指示に従って少しでも体を動かすように心がけよう。

呼吸筋の簡単ストレッチ

息切れがあると、肩をすくめてしまうことが多いため、肩こりを起こす人が多い。
肩こりを解消する首回し運動や、胸の筋肉を伸ばす体側ストレッチを取り入れてみよう。

呼吸筋の簡単ストレッチ

step1 首を前後左右にゆっくり倒す
step2 イスに座って片方の手を上にあげ、耳につける。
そのまま横にゆっくり倒す。左右行う。
step3 手を前で組み、ゆっくり頭の上へ伸ばす

また、COPDの場合、積極的に取り入れたいのがウォーキングだ。症状が軽い人なら1日1万歩を目安に、その日の体調に合わせて行おう。ただし、食後すぐやだるさ、むくみがあるときなど、「体調がいつもと違うな」と思ったときは無理をしないこと。

口つぼめストレッチが効果的!

COPDの人が取り入れたい呼吸法は、ずばり腹式呼吸。肺を使うだけでなく、腹式呼吸によって肺の下にある横隔膜の上げ下げをすることで、肺の動きを助ける効果もある。ポイントは、息を吸うときには鼻から、吐くときはゆっくりと吐ききることだ。次に紹介する口つぼめストレッチを実践してみよう。

口つぼめストレッチの方法

口つぼめストレッチ

step1 軽く口を閉じ、鼻から息を吸う
step2 口笛を吹く要領で、口をつぼめてゆっくりと息を吐く(吐く時間は吸うときの2倍をめどに)
※吐き出すときには、口元から30cmほど離したところに手をかざし、そこに息を当てるようにゆっくり吐く

腹式呼吸のポイント

step1 お腹に手をあてて、口つぼめストレッチの要領で、ゆっくり大きく息を吐ききる
step2 息を吸ったときにお腹がふくらむように意識しながら、鼻から息を吸う。
横隔膜が下がって肺に空気が入りやすくなる。
※呼吸のときに、胸が膨らまないよう注意して

体調に大きく影響する「栄養管理」のポイント

呼吸機能が低下してくると、自然とそれを補うような呼吸をするようになるため、1回の呼吸に大きなエネルギーを使うことになる。そのため、安静にしていても、消費エネルギーが増え、体重が減ってしまう人が多い。急激に体重が減少すると、脂肪や筋肉量が減ってしまうため、体力・免疫力が低下しやすく、さらに体調管理が難しくなってくる。標準体重を基準に、それよりも体重が少ないという人は、主食の炭水化物やタンパク質を積極的に摂るように心がけよう。

一方、肥満の状態にある人は、体脂肪によって胸部が圧迫されることで、ますます呼吸しにくくなってしまう。さらに動いたときに息切れするので、運動するのもつらくなり、筋力が低下、息切れがひどくなるという悪循環を起こしやすい。栄養バランスの取れた高タンパク低カロリーの食事を心がけ、体重減少を目指して。

COPD患者の食事ポイント

  • ●腹八分目を目指そう
    満腹になるまで食べてしまうと、横隔膜が圧迫されて息苦しくなるので、腹八分目でとどめておくのが良い
  • ●ガスがたまりやすい食材は避ける
    イモ、マメ類、ビールなどの炭酸飲料、リンゴ、キャベツなどの食材はお腹にガスがたまりやすい。
    これも横隔膜の圧迫につながるので、なるべく避けよう
  • ●汁ものに注意!
    汁ものなどの水分は、むせやすくせきこみやすいので、注意する。
    食事も急いで食べるとむせるもとになるので、ゆっくり、時間をかけて楽しく食べよう