疾患・特集

心の声から浮かび上がる、うつ病患者の姿

当サイトでは「うつ病」の方を対象にアンケートを実施し、多くの方から回答を頂きました。今回は結果の一部として、うつ病の情報収集について、家族や友人からのサポートなどについて報告いたします。回答にご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました。

うつ病になってつらいのはどんなことですか?(複数回答可)

職場を休職、失業するなど、経済的な問題が生じている 172人
治療効果が現れない125人
友人や家族の理解が得られない123人
薬の副作用110人
信頼できる医師が見つからない60人
その他100人

うつ病になってつらいこととしては、「職場を休職、失業するなど、経済的な問題が生じている」(172人)が最も多く、うつ病を周囲に打ち明けられない理由として解雇への不安が多く挙げられた点と一致します。自由回答では「気分の浮き沈みが激しいので、自分自身が疲れる」「健常時の自分が分からないので、回復に向かっているか分からない」「何事にもやる気が出ず、子育てもできない」などの意見が見られました。

うつ病に関する情報をどこから入手しますか?(複数回答可)

インターネット 263人
患者・一般向けの書籍160人
主治医156人
医療機関に置いてある冊子80人
製薬企業のHP36人
医師が読むような専門書27人
その他25人

うつ病に関する情報の入手源としては、「インターネット」が263人と圧倒的に多く、「患者・一般向けの書籍」(160人)、「主治医」(156人)「医療機関に置いてある冊子」(80人)と続き、自由回答でも「新聞」「雑誌」「大学の教科書」という回答が挙がるなど、ひとりで情報を収集する患者の姿が浮かび上がります。

家族や友人からはどのような対応・サポートが望ましいですか?

周囲からどのような対応・サポートが望ましいかという問いに対し、1位は「詳しい知識を身につけて欲しい」(36%)、2位「偏見を無くして欲しい」(28%)、3位「なるべく関与しないで欲しい」(18%)。一般的に「うつ病患者に励ましは厳禁」と言われますが、「積極的な励ましが欲しい」(4%)という声も少数ながらあり、うつ病患者の多様性が見てとれます。

そのほかの回答として「ステレオタイプで見ないで、その人を理解することを優先して欲しい」「うつ病のことをあまり意識せず、自然に見守っていて欲しい」「ご飯づくりなど家事のサポートが欲しい」などが挙がりました。

うつ病治療に関する要望、意見

最後に、うつ病治療に関する要望、意見の中で、印象に残ったものを下記にまとめました。

  • うつ病でおっくうなため、通院すらできない。
  • 初診で予約がないと診てもらえないところが多いのは疑問。切羽詰まっているからこそ医療機関に足を運ぶわけで、初診こそ予約なしで診て欲しい。
  • うつ病はメジャーな病気になりつつあるにもかかわらず、いまだに周囲に言いにくい雰囲気を感じている。私自身はうつ病であることを言っているし、ほかの人ももっと公言すべきだと思う。
  • 「心の風邪」という言葉があるが、治療に関しては風邪よりはるかに長い期間を必要とし、社会的・経済的にも打撃が大きい病気。「心の風邪」という表現は、適切ではないと思う。
  • 受診ごとに「経過報告書」のようなものを医師が出してくれるシステムがあると良い。うつ病は家族をはじめとする周囲の理解、患者と周囲の適切なコミュニケーションが大きく病状を左右する。しかし患者本人が自分の症状、状態を周囲に理解してもらおうとアプローチすることは難しく、それが負担となってさらにつらい症状におちいることもある。家族など周囲は「根気よく対応を」と求められるのが常だが、うつ病患者が治療中のいま、どのような状況・段階にあるかを医師がそのつど提示してくれることで周囲も患者をより理解でき、コミュニケーションの対策もとれて心強い。
  • うつ病には根本的な治療がなく、どうしても対症療法しかできていない感が否めない。自分がうつ病と自覚してからはどこか劣等感がつきまとい、「うつ病」という病名に抵抗を感じる。せめて「セロトニン○○症」などであれば、気が楽になるのに。

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