疾患・特集

なるほど!冬の血圧管理術

デリケートな血圧の「敵」とは?

やっかいなのは冬の寒さ

血圧はとてもデリケートで、変化しやすい。例えば朝と午後の違う時間帯に測るだけで数値は異なるし、クシャミや咳をしただけでグンと上がることもある。ちょっとしたことがきっかけとなって上がったり下がったりするため、血圧を上げないようにするには日常生活での十分な注意が必要だ。

とくにやっかいなのは、冬の寒さだ。気温が低くなると交感神経が緊張して血管収縮を起こし、血圧が上がりやすくなる。冬になると心筋梗塞などの発作を起こして救急車で搬送される患者が多いというが、それも寒さから血圧が上がるのが原因だ。

重大な事態に陥るのを防ぐためにも、冬の高血圧はとくに注意が必要だ。

高血圧あれこれポイント!

東京都内で心臓救急に携わる医療機関の団体「東京都CCUネットワーク」に1982~1994年の間、急性心筋梗塞で搬送された患者を調べたところ、発症が最も多かったのは12月。ついで3月、1月だったという。

こんなシーンにご注意!

日常生活の中で、血圧を不意に上げてしまう危険性はあちこちに潜んでいる。とくに次のようなシーンでは急激な温度差が発生しやすく、血圧を上げやすい。

  • 入浴時、脱衣所で服を脱ぐとき
  • 夜中などにトイレに行くとき
  • 上着をはおらずに庭やベランダに出るとき
  • 暖房の効いた車から降りて、寒い駐車場を歩くとき

家の中は場所によって温度差が発生している。とくに玄関や浴室、トイレは居間などにくらべ室温が低い場合が多いので、脱衣場に小さなヒーターを置くなど、なるべく保温につとめるようにしよう。また、室内が暖かいときはうっかりそのまま外に出てしまいそうだが、冬の外気は健康な人でさえ心臓が締め付けられるように感じるものだ。面倒でも上着やマフラーなどで防寒を怠らないようにしよう。

今日からスタート!冬を快適に乗り切る術

やっかいなのは冬の寒さ

高血圧患者のほとんどは遺伝体質とともに食習慣や運動不足、ストレスがからみあって高血圧を発症するとされている。寒さ対策のほか、生活全般についても注意が必要だ。

高血圧患者の場合、1日に摂る食塩は6g未満が理想的だが、外食やコンビニ食品ではあっという間に6gに達してしまう。例えばかけそば1杯の塩分量は約3.3g。外食する際にはメニューの選択には注意し、麺類の汁やソース類はなるべく残すなどの工夫をしよう。家庭で調理をするときはもちろん、「薄味」が基本だ。

また、寒いからといって家にばかり閉じこもっていると運動不足を招く。室内でもできる運動器具を購入するなどして、なるべく体を動かすことを習慣にしよう。これらの対策は、やれば確実に血圧を下げてくれる。今日からすぐにスタートしよう!