疾患・特集

私の生活が変わった!過活動膀胱の治療

過活動膀胱の診断に必要な検査とは?

問診によって得られた現在の状況と、病歴などをもとに、引き続き身体所見や検尿、超音波検査などが行われる。身体所見では、下腹部の視診と触診、直腸内指診(男性のみ)、外陰部の指診と内診が行われる。検尿は血液の混じりや尿路感染症がないかなど、別の病気が隠れていないかどうかが確認される。
ほかにも残尿量や排尿量、尿もれの程度などの検査が行われる。

主な検査と目的

検尿 尿に血液が混じっていたり、尿路感染症を引き起こしていないかなど、過活動膀胱以外の病気がないか確認する
超音波検査 膀胱を診て、残尿量を調べる検査。前立腺や腎臓の状態を確認する
尿流動態測定 排尿量や勢いをグラフにすることで、排尿障害があるかどうか、またその程度を調べる
パッドテスト もれた尿の量を測ることで、尿もれの程度を確認する

検査でみつかるのは過活動膀胱だけじゃない?

過活動膀胱と似た症状を持つ疾患に、尿路感染症や尿路結石、膀胱がん、間質性膀胱炎、心因性反応、排尿障害による残尿、薬の服用による尿量の増加、多量の水分摂取、糖尿病や腎機能障害などがある。身体所見や尿検査を行うことで、ほかの病気の早期発見につながることもある。そのためにも気になる症状があったときには病院へ相談しよう。

過活動膀胱には、どんな治療法があるの?

過活動膀胱の症状改善に最も効果的な方法は、薬の服用と、体操や排尿日誌の継続、水分量の制限といった日常生活における「行動療法」の併用だといわれている。そのほかにも症状が重い場合には外科的な治療が行われるケースもあるが、ここでは一般的な治療法を紹介する。

薬を服用する(薬物療法)

薬物療法の目的は、過活動膀胱を引き起こす原因となる、排尿に影響する筋肉が過剰に動くのを抑え、膀胱で尿が十分溜められる状態をつくること。

過活動膀胱治療に使われる薬の種類

抗コリン剤 過活動膀胱の治療に使われている薬剤の主流は、抗コリン薬で塩酸プロピベリン、塩酸オキシブチニンが代表的。過活動膀胱のために開発された新しい薬としては、酒石酸トルテロジンなどがある。
平滑筋弛緩剤 平滑筋を緩めたり、局所麻酔作用がある。
三環系抗うつ剤 本来は抗うつ剤だが、抗コリン作用があるため、夜間尿失禁に有効という報告がある。

過活動膀胱の治療に使われる抗コリン剤は口が渇く、尿が出にくくなる、便秘、発汗などの症状がみられることもあるが、なかでも過活動膀胱治療のために開発された薬である酒石酸トルテロジンは、こうした副作用が少ない薬として注目されている。

トイレ間隔を伸ばす訓練をする

トイレに行く間隔を少しずつ長くするよう意識することで、少しずつ膀胱の容量を大きくすることができるため、オシッコを長く溜められるようになる。受診前につけた排尿日誌を継続してつけることで、自分の排尿間隔が長くなっていることが実感できれば、自信にもつながる。

水分摂取の制限

カフェインを含む飲み物を避け、水分摂取量を調整することで、尿量を適量に調整する。ただし、過度な水分制限は禁物。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操

過活動膀胱の頻尿や尿もれの症状には、骨盤底筋体操と2のトイレ間隔を伸ばす訓練の組み合わせが、より効果的だと考えられている。弱くなった骨盤底筋を鍛えることで、尿道の締まりがよくなり、尿もれが軽くなる。肛門と膣を締めたり緩めたりを繰り返すだけの簡単な体操なので、時間をみつけて毎日続けよう。

その悩み、一歩を踏み出せば、こんなに変わる!

トイレを気にせずに生活を楽しむ

今までだれにも相談できずに悩んでいたのが、治療できる病気だとわかるだけで、不安感は解消するもの。治療を続けることで、その効果が出てくれば、また好きな旅行に行ったり、トイレを気にせずに生活を思い切り楽しめる。
それにはまずひとりで悩まずに、病院へ相談に行くことからはじめよう。
そしてあなたの家族や周りにもひとりで悩んでいる人がいるかもしれない。病院へ行くことをためらわず、医師に相談してみることを勧めてみて欲しい。